スウェーデンの田舎で暮らしていると、羊を飼っている農家によく出会います。羊は食用というよりは、その暖かな毛を利用して、上質な毛糸やフェルト、羊の毛皮の敷物、などの製品を作るために育てています。それらは、冬が長く厳しいスウェーデンの暮らしに欠かせないものです。

または、夏の間に雑草を食べてくれて便利！という理由で、数匹をペット的に飼っている人も時々いるとかー。

私たちの森のコテージ近くにも、自分たちで羊を飼い、毛皮を加工しデザインした羊毛の雑貨や服を売っている、畜羊家ショップがあります。

オーナーのインゲルさんは町から田舎に引っ越してきたとき、あまりにも土地が広いのでやはり友達から「羊でも飼えばいいのに」と冗談交じりに言われたのがきっかけで、ペットのつもりで羊を飼い始め、その魅力にはまった一人です。

そして、今や百頭近くの羊を所有し、スウェーデンの羊毛の品評会でチャンピオン羊を何頭も輩出する、プロの畜羊家となりました。

特にインゲルさんの所有している羊たちは、クルクル巻き毛が特徴のシルバーグレー色の美しい毛並みを持つ特別な種類。スウェーデンでも最も人気の高い品種です。毛皮はそのまま床やソファに敷いたり、家具のシート用として加工されたり、時には贅沢にもベビーカーの中に敷く人もいます。

そのエレガントで上品な光沢と茶目っ気たっぷりのクルクル巻き毛が、スウェーデンの白樺の家具や、インテリアの色遣いにはとてもよく合います。
羊の本物の毛皮は決して安いものではありませんが、一生もの。大切に使い続けて、子世代へも受け継いでいきます。