ドイツの住宅のデザインは、都市と郊外によって、また新旧によってモダンなものから木をふんだんに使ったロッジ風のものまで様々なバリエーションがありますが、ここでは「ロマンチック街道」という名で日本でも知られる南ドイツの伝統的な住宅デザインについてご紹介します。
南ドイツは緯度が高い内陸部に位置し、冬は非常に冷え込み、曇りの日も多い地域です。このような厳しい気候のため、ドイツの人々は、食料や燃料などの貯蔵を目的とした地下室をつくり、厳しい環境の中で無駄な空間を嫌う質実剛健の気質を育んできたのではないでしょうか。
南ドイツの家の外観の最大の魅力は木材を使用した自然の緑に似合うデザインにあります。色使いは日本人の好みの白と黒、または白と茶色が多く、素材感を生かした清潔感が好感の持たれるところでしょう。
また、通りに向けて木組みのバルコニーが取り付けられることが多く、春から秋まで外から見えるように花台等に花を飾ります。これは通りを歩く人に喜ばれ、また町の美しい景観づくりにも大きく貢献しています。
ドイツの家の壁と床はコンクリートや重量ブロックを積み上げる工法が一般的ですが、木質パネル組も普及してきています。
屋根組は太い木材を組み上げて、軒は深く造り、仕上げは瓦が使われます。そして、2階の階高を下げて内部の容積を抑えています。
このように「しっかり」とした各材料を組み上げるため、ドイツの家の外観には安定した重量感がでて、しかも深い軒が豊かさを醸し出しています。
ドイツの家の内観は、壁は白が基調で、木材と調和したシンプルさを表現しています。太陽光を室内に取り入れるためにたくさん設置される窓ガラスは、木製のものでも気密性能が高く、結露の心配がありません。
断熱材についても、ドイツは地球環境に対するエコ意識が非常に高い国です。現在、木質繊維の「自然素材断熱パネル」が最も注目されており、家の壁はもちろん、屋根や床などにも使われています。