階段っていうのは、家の中の“魅せ場”のひとつだと思うんですね。外に対しての魅せ場だったり、自分たちのくつろぎの場所だったり。 | |
くつろぎの場所? 階段が……ですか? | |
自分の趣味のものを飾っている人はいますよ。階段の途中っていうのは殺風景になりがちなんですけど、たとえば壁にニッチをつくって物を飾ったり、本棚をつくって好きな本を並べたり。 | |
単に1階と2階の移動の場所だと思ってると、面白くないんですね。 | |
階段という場所をもっと有効利用して楽しもうという考え方があってもいいのかな、と。 さっきの踊り場の話もそうですが、階段の途中に座り込む場所を作ることで子供たちの遊び場にもなるんです。リビングが近くにあれば、親御さんも安心ですよね。そうなると、もう階段は無駄な場所じゃなくなるんですね。 |
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階段に立ったとき何が見えるか、別の場所から階段を見たときどう見えるかといったことも重要なんですね。 | |
その場所に意味を持たせるかどうかは、住む人の暮らし方次第なんです。そうはいっても、「階段なんて無事に2階に上がれればいいじゃない」っていう人の方が圧倒的に多いとは思うんですけど(笑)。 ただ、私としては、やっぱり気持ちよく暮らせる住まいをご提案したいと思いますから、階段を上がっていくときに見えるもの、下りてくるときに見えるもの、それから途中の踊り場に座ったときに見える景色、照明の位置なんかを考えるんですね。あまり仕込んだものじゃなくて、さらっとですけどね。 |
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そういうの、気づかずに過ごしていることが多そう。 | |
いいんです、それで。ある意味、気づかれないようにやってるので(笑)。 | |
子供のほうが、そういうことに気づきやすいかも。 | |
子供は成長して目線が変わっていきますからね。小さいころいつも遊んでいた場所が、大人になるとすごく狭く感じることってあるじゃないですか。でも、そういう経験が家に対する愛着を生むのかなと。 僕は、どっちかというと「家に傷をつけていけばいい」という考えを持っているんですね。子供が成長していったりとか、家族が暮らしていったものの跡が残っていく家の方がいいなと思ってるんです。 そういう意味で、階段も無駄なスペースだと思わずに、どんどん遊びを取り入れていってほしいですね。安全にね。 |