イエマガ(以下イ):今回は東日本大震災で住みなれた家を失い、3年間の仮住まいを経て、素晴らしい新居を建てられたOさんのお宅におじゃまいたしました。
Oさんが以前暮らしていたのは、あの南三陸町ですから大変な状況だったと思います。
ご主人(以下・Oさん):海が近い場所でしたので、日ごろから避難訓練をしっかりしてましたから、家族は全員無事でしたが、経営していた電気店、自宅、所有していた貸家、営業用も含めて車3台、これが津波で流されて、すべて失ってしまいました。
イ:一瞬にしてすべてを失くされてしまったことに、言葉もありません。
Oさん:いろんなものを失いましたが、やっぱり家がなくなったことが一番のショックでしたね。子どものころから40年、ずっと住んでいた家ですし、帰る家がないという状態は経験したことがなかったですからね。
今、こうやって家を建ててみて、本当に家のありがたさがわかります。
イ:この家を建てられるまではどちらに?
Oさん:見なし仮設制度で賃貸アパートに住んでいました。これまで私の両親と息子と5人で暮らしていたんですが、狭いアパートだったので2部屋を借りて親とは別々でした。
この時に、家族は一つ屋根の下で暮らすのが一番だとつくづく思いましたね。両親は元気ですが高齢なので、見守れるようにとも思いました。
奥様(以下・Aさん):アパートは上の階の方の音も気になりましたし、建物が道路沿いだったので、夜はクルマの音でなかなか寝付かれませんでしたし。
イ:アパートで暮らした3年間の経験が、今回のご新居に活かされているんですね。
Oさん:そうですね。限られた空間を広々と快適に感じられるように、とかプライバシーに配慮しながらも気配を感じられるようにとか、いろいろと工夫を凝らしました。
イ:それでは、その工夫について、詳しくお話を伺いたいと思います。 |