家事に育児に仕事に……毎日忙しいお母さんのホンネとは? 「お母さんのひとりごと」は、一般公募で選ばれたお母さんたちによるリレーエッセイです。
わが家には、中3の長男を筆頭に3人の子供たちがいる。
若くして長男を産んだ私は、仕事への未練を断ち切ることができず、しばらくの間仕事を優先してきた。自然の成り行きで兄弟ができればそれでいいと思いながら、長男の気持ちを思いやる余裕もなく、気がつけば30歳目前。これではまずい。
私の体力が持たなくなる、と大好きだった仕事をあっさりと辞め、長男との時間を過ごし始めたとたん、妊娠したことがわかった。
妹が産まれてからは、長男が一緒になって子育てをしてくれた。妹と年が近いと赤ちゃん返りなんてこともあったのだろうが、そんなこともなく、喜んでお世話をしてくれた。
そうこうしているうちに、再び妊娠していることに気づいた。そのことを長男に伝えると、今度は弟がいいなって言ってくれた。
3人の子供の母になった私は、どうやって年子に近い子供2人のお世話をすればいいのか途方にくれていた。そのときも、「僕がいるよ」と言ってくれた長男。子供の年が離れていることを、このときほど感謝したことはなかった。
今でも下の2人は何かにつけてけんかをしているが、そこに長男が入ることはない。年が離れているぶん、やはり大人なのだ。
けんかになりそうで、けんかにならない。最後は仕方ないって思っているようだ。
だからといって、我慢しているようでもない。聞くと、彼の口からは「小さいから」という答えが返ってくる。そのぶん、私のストレスは軽減されている。
ようやく子供たちにも手がかからなくなり始めたころ、ふと気がついたことがある。子供が4人に増えている(?)ような感じがするのだ。
結婚したてのころは夫との12歳の年の差を大きく感じ、何をするにも相談していたのに、仕事を辞め家に入ると、出勤する夫にも子供たちと同じ声掛けをしている。
「忘れ物はない?」「車に気をつけて」「帰宅時間は?」
休みの日には、夫も子供たちと一緒になって遊んでいる。目を細めて見ていられたのは初めのころだけで、今となっては4人ひとくくりにして「あなたたち、いい加減に片付けを手伝って」「ご飯の用意を手伝って」となっている。
結婚したてのころの頼りがいのあった(?)夫はどこにいったのだろう。
たぶん彼も「あれほど頼っていた妻はどこにいったのか」と思っているだろう。
そんなばたばたした毎日の中で、子供たちに話していることがある。
「今すぐやらないといけないことは、今すぐやろうね」である。
4年前、20年来の親友を亡くした。心臓が弱く、入院したことも知っていたのに。
あるとき彼女が島根から大阪に来る用があり、会いたいねって連絡をくれた。
そのころはちょうど次男を産んだところで、出かける余裕などなかった私は、「子育てがもう少し落ち着いたらね」と返事をした。彼女も「そうだね。またね」って返事をくれた。
またねの「また」が来ることはなかった。
2年後の冬、彼女はいなくなってしまったのだから。
「いつか」がいつでもあるわけじゃない、と子供たちが理解してくれるのには、まだまだ時間がかかりそうだ。
それでも彼らの長い人生の中で、こんな思いはしてほしくないと願っている。
やはり母だからなのかな?
◆前回の執筆者からの質問
「自分が『母親だなぁ』と感じるのはどんな時ですか?」への回答◆
お母さんの作るものが一番おいしいとか、一番かわいいとか言われると、夜なべをしてでも作ってしまうとき。
「子育てで気をつけていることってなんですか?」
ともさん
40歳、専業主婦。大阪府在住。夫(52歳)、長男(15歳)、長女(8歳)、次男(6歳)の5人家族。