現在、外付けブラインドに対して興味を持たれた方の多くが、夏場の節電を考えて「遮熱の性能」を期待されているのではないでしょうか。そこで、最終回は、建設省が制定した「住宅の省エネルギー基準」を基に「窓の遮熱」とその評価方法について考えたいと思います。
省エネルギー基準(通称、次世代省エネルギー基準)には、あなたの家が「省エネの家か?」を評価する方法が3通り挙げられています。
上記(詳細右記)の方法はそれぞれ、各建具、断熱材を自由にプランして暖冷房負荷(上限を超えないように)を考えてプランするA、建材や断熱材、そのほか遮熱設備などを組み合わせを考え、両係数を抑えるBと、指針で示され仕様や建具とガラスの組み合わせ等指針に従って建てるC、このどれかで評価されます。
3つの中で設計者にとって、自由度の高いAとBを基に省エネ住宅かを評価する場合、開口部、天井、床、壁それぞれ断熱材、断熱ガラス、熱を通しにくい樹脂などの素材を用いて、外に逃げる熱を防ぎます。結果、暖房負担は下がり(A)、熱損失係数も下げることができます(B)。 次に夏場を考えます。同じように天井、床、壁からの断熱が大切ですが、太陽の日射しを有効利用できる冬場と違い、開口部の日射遮蔽が冷暖房の負担に大きく影響します。
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開口部に外付けブラインドと室内ブラインドを設置したときの窓辺の温度の違いがわかるサーモグラフィです。夏場窓辺の温度は、このように太陽の輻射熱によって上昇し、冷房への負担も大きくなります。 |
外断熱の実証・・・ガラス表面温度の比較実験外付けブラインドと室内ブラインドの、日射遮へい効果を比較するため、サーモカメラで室内窓表面温度を撮影(室温28度)。〈実測・評価 東京理科大学 井上研究室〉 |
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開口部のガラスには様々な断熱性能があるものが製造されています。たとえば、二重ガラス(ペアガラス)は2枚のガラスで断熱性能に優れています。しかし、上記の写真のように、夏場窓辺の温度が上昇し、その輻射熱が室内に広がるため、断熱性能だけでなく、日射が透過しない建材を選び、室内の温度が上がらないように配慮する必要があります。
そこで、Low-E(遮熱低放射層ガラス)や日射熱を吸収するガラスなどを用いると断熱と遮熱が両立し、冷房効果を高めます。
最近では、窓の日射遮熱取得率がカタログに表記されていますので数値を確認し、窓の方位、間取りに合わせて使い分けます。
ただ、日射侵入率や断熱性能の高いガラスは高価なものが多いので、日射侵入率の高いガラスでも附属部材(カーテン、ブラインドなど)、庇、軒を組み合わせることで冷房の負荷を下げるという選択肢もあります。 |