堂 剛(どう つよし)
東京生まれ。イタリア・フィレンツェ在住。2004年にイタリア中部小都市オルヴィエートに移住、その後フィレンツェに移る。
webデザイン、ライター、翻訳、コーディネーター等の仕事に従事しながら、イタリアのレストランやホテル、生活の情報を日本へ伝えるウェブサイトを運営。
イタリア情報サイト「アーモイタリア」
自ら足を運んで取材したレポートがたくさん掲載されています。
http://www.amoitalia.com/
イタリア生活日記
http://blog.belgiappone.com/
イタリアはローマ帝国から続く古い国家のイメージが強いですが、現在のイタリアが統一されたのはわずか150年ほど前。それまでは都市国家の時代が長く、例えば中世以降なら、ヴェネツィア共和国、ミラノ公国、フィレンツェ共和国などが海運や商業によって栄えていました。現在も言葉や建築や料理、さらには人の気質などが町ごとに特色があるのも、そういった歴史背景があるからです。
住まいの考え方も島国の日本とは大きく異なります。都市間の争いが多かったイタリアでは町全体が城壁で囲まれ、建物の1階は住居に使われることがほとんどありませんでした。現在もアパートメントの1階はガレージや物置に使われ、2階以上に住むのが一般的です。
古くからヨーロッパにおける防犯の考え方はとてもしっかりしています。ホテルに限らず、アパートメントの入り口も家庭のドアもすべてオートロックで、建物内に人が自由に出入りすることはありません。来訪者は必ずインターフォンを押して住人にエントランスを開けてもらう必要があります。
イタリアの町では朝10時ころになると家々のブザーが鳴り響くのを知っていますか。郵便局員が配達物を配っているんですね。防犯上、郵便ポストまでがエントランスの内側にあるので、手紙を届けるのも一苦労です。
各家庭のドアはさらに頑丈です。今イタリアで主流になっているのが「ポルタ・ブリンダータ(porta blindata)」という扉の内側に鋼鉄板が入っているタイプです。一見すると普通の木製の扉ですが、その中には鋼鉄板が仕込まれています。まるで城門のようですね。
さらに錠前の構造も複雑で感心します。鍵穴に差し込んだ太い鍵をぐるぐると回すと、ドア内部から鋼鉄シリンダーが伸び、上下左右の壁とがっちりと噛み合います。錠前とカンヌキが一体になったような作りで、銀行の金庫の扉のように重厚で安心感があります。扉を打ち破って中に入ることはまず難しいでしょう。
我が家の玄関もポルタ・ブリンダータです。扉の厚さを測ってみるとなんと9センチ、扉自体がとても重く、滑らかにゆっくりと閉まります。最後に「カチリ」と密閉される感じは、例えるなら巨大冷凍庫の扉。閉まった後は押しても引いてもびくともしません。
泥棒もすぐに諦めるような堅牢性には、住人も十分に注意が必要です。オートロックなので、鍵を部屋に残して外に出たら一貫の終わり。僕自身も背後で「カチリ」という音を聞いて冷や汗をかいたことがあります。頑丈すぎてプロに頼んでも開けるのに苦労するそうです。そんな非常時のためにイタリア人はスペアキーを家族や友人に1セット預けておきます。でもそれって安全なのか緩いのか良く分からないですよね。
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