堂 剛(どう つよし)
東京生まれ。イタリア・フィレンツェ在住。2004年にイタリア中部小都市オルヴィエートに移住、その後フィレンツェに移る。
webデザイン、ライター、翻訳、コーディネーター等の仕事に従事しながら、イタリアのレストランやホテル、生活の情報を日本へ伝えるウェブサイトを運営。
イタリア情報サイト「アーモイタリア」
自ら足を運んで取材したレポートがたくさん掲載されています。
http://www.amoitalia.com/
イタリア生活日記
http://blog.belgiappone.com/
グルメやファッションの発信地と知られるイタリアは、世界遺産を数多く擁するヨーロッパ随一の美しい国として知られています。
ドイツを代表する文豪ゲーテも美しいイタリアに憧れを抱き、2年間にわたり各地を滞在した経験を持ちます。その誰をも魅了するイタリアですが最近町が汚くなってきています。日本人旅行者の口からも「イタリアは思っていたよりも汚いですね」という悲しい言葉を耳にすることが多くなりました。
遠くから見る美しい街並みとは裏腹に、実際に歩いてみると道端のゴミが良く目につきます。タバコのポイ捨ては当たり前、レシートやガムの包み紙、ビール瓶なども路上に捨てる人が多いのです。
ここフィレンツェでは数年前にマナー条例が施行されましたが、今も吸い殻の投げ捨てや飼い犬の糞の放置が絶えません。
いずれも150ユーロ(2万円)程度の罰金ですが、取り締まる警察官もタバコを地面に捨てるくらいなので、あまり真剣に考えていないのかも知れません。
ゴミだけでなく落書きも、イタリアの各都市部で大きな問題となっています。皆さん覚えているでしょうか、2008年に日本人学生がフィレンツェ大聖堂のクーポラ(円屋根)に学校名入りで落書きしてワイドショーを賑わせました。その時イタリア人は「日本人はもっとも行儀の良い旅行者だ、あまり自分たちを責めるな」と寛大な対応をしてくれました。
実はイタリアでは古くから落書きが多く、いわば自由な風土を作ると容認されてきた経緯があります。実際フィレンツェのクーポラに上るとその落書きの多さに驚くでしょう。大理石の美しい通路は油性ペンで書かれた訪問者のサインであふれています。今では消してもきりがないことから、補修をすることを諦めてしまったようです。
近年問題視されているのは、「グラフィティ」と呼ばれるスプレーやフェルトペンを使った落書きアートが、個人宅や個人商店にまで広がってきていることです。
2015年に発表されたデータでは、ミラノだけでも1300人のライター(落書きを描く者)がいて、彼らのタグ(落書き)を補修するだけで、140億円かかるという試算が市民を驚かせました。
イタリアの主要都市では毎年15〜20%のライターが増えているといわれ、補修にかかる税負担は増えるばかりです。財政困難から市当局も、今後は修復費を建造物の所有者や住人に直接請求する検討も始めました。住人たちは自分の家を汚された上に、さらにお金まで払うリスクがあるのです。
新しい芸術を育みルネッサンスが開花したイタリアは、700年を経た今、新たな問題に直面しています。落書きは犯罪なのか、アートなのか、それとも自由を訴えるメッセージなのか。町が一体となってしっかりと問題解決に取り組むときが来たようです。
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