堂 剛(どう つよし)
東京生まれ。イタリア・フィレンツェ在住。2004年にイタリア中部小都市オルヴィエートに移住、その後フィレンツェに移る。
webデザイン、ライター、翻訳、コーディネーター等の仕事に従事しながら、イタリアのレストランやホテル、生活の情報を日本へ伝えるウェブサイトを運営。
イタリア情報サイト「アーモイタリア」
自ら足を運んで取材したレポートがたくさん掲載されています。
http://www.amoitalia.com/
イタリア生活日記
http://blog.belgiappone.com/
イタリアと聞いて日本人が連想するのは、美味しい料理と極上のワイン、そして陽気でオシャレな人たちでしょう。いつも楽しく口笛を吹いているようなイタリア人ですが、ここ数年の気温の上昇には、さすがに参っているようです。
普段あんなにおしゃべりな友人も、今年は早くも夏バテ状態で寡黙なイタリア人になっています。
例えば、イタリア半島のほぼ真ん中に位置するフィレンツェは、今年7月の時点ですでに最高気温37度を記録しました。猛暑の年は40度を超える日もあるんですよ。そして無慈悲なことに、イタリアではまだまだエアコンを設置してない家も多いのです。
こんな猛暑をエアコンなしで過ごすなんて、日本では考えられませんよね。でも彼らはその過酷な夏を、代々伝わるシンプルな方法で上手に乗り切っていました。
そもそも、なぜイタリアの家庭ではエアコンが普及していないのでしょうか。たとえば僕が住むフィレンツェは、町全体が世界遺産に登録されています。そのため家の外観を変えるには、届け出などの手続きが必要です。エアコンの室外機も人目に付くところに設置するのは難しく、中庭側や屋根の上など隠すように置くのが一般的。これが第一の関門。
そして、第二の関門は家の構造。旧市街にある住居は築300年なんて当たり前、古くから続く石造りの建造物は壁の厚さが20センチ以上もあります。そこに穴をあけてエアコン・ホースを通すのは工事費用も大変なようです。電気代の増加も考えてエアコンを諦めている家庭が多いのです。
でも彼らには知恵と工夫がありました。エアコンのない時代から家で、涼しく過ごすアイテムとして使われてきたのが「ペルシアーナ」です。
「ペルシアーナ」は西南ヨーロッパ地域で広く使われている鎧窓の一種。夏の室内を快適に過ごすために、19世紀ころから普及してきたようです。それまでは木製の一枚板を使い光と風を完全にシャットアウトしていましたが、スリットの入ったペルシアーナは空気の循環は遮らず、太陽光の熱のみを防ぐことができます。日差しの強い夏には欠かせない建具です。
夏の暑い日のペルシアーナの上手な使い方はこう。
まず夜から朝にかけて涼しい時間は、窓もペルシアーナも全開にします。イタリア人は外の騒音なんて気にしません。冷たい外気を目一杯取り入れて家全体を冷やします。そして日差しが強くなる10時頃になったら、日の当たる窓のペルシアーナを閉じていきます。イタリアは湿度が低いので日差しさえ遮れば涼しい風が吹き抜けてとても気持ちが良いです。
その後、気温が30度を超える頃は、その涼しい風も熱風に変わってしまうので、今度は窓も閉めてしまいます。家の中は薄暗く密閉されてしまいますが、朝蓄えた冷気で午後まで快適に過ごすことができるます。
そして日が沈み、外が涼しくなったら、また窓とペルシアーナを全開にして涼しい外気を取り込みます。
機能優秀なペルシアーナは、イタリアの夏には必要不可欠。美術館やホテルなどあらゆる建物に設置されています。夏のイタリアに来る機会があったらぜひ建物を見上げてみましょう。日中しっかりと閉じられたペルシアーナは、19時頃いっせいに開け放たれます。
外が涼しくなる同じ頃、イタリア人も仕事から開放されて、本来の陽気さを取り戻します。いつものバールに行けば友人や知人が自然と集まってきて、ビールやカクテルなど食前酒を楽しむ長い夜が始まります。
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