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高石陽子さん
これまでインテリアデザイナーとしてモデルルームや新築住宅、マンションリフォームなどのインテリアデザインに携わる。
さらに現在は個人邸の整理収納計画から音や香り、食器の選定なども含む店舗デザイン、セミナー講師など幅広い分野で活躍。インテリアの基礎を教えるインテリアサロンCASAも主宰。オランダ在住。
Yoko Takaishi Design 代表
インテリアデザイナー
/整理収納アドバイザー
/The Interior Design School Diploma
取得 /BIID 英国インテリアデザイン協会 正会員
クリスマスシーズン到来ですね。アムステルダムも街のあちこちにスケートリンクやクリスマスマーケットが立ち並んでいます。寒い夜は、クリスマスマーケットで白い息をハァハァさせながらいただくグリューワイン(スパイス入りのホットワイン)が最高。心踊る、冬の風物詩のひとつです。
家はその人自身を表します。モデルルームのように整頓されて凜とした美しさのある家もあれば、雑然としているのに温かみがあり落ち着く家もありますよね。どちらが良いということではなく、ご本人が一番心地よいと思える空間が正解だと思います。そこにお人柄が滲み出るのかと。
今回訪問したのは、アムステルダム郊外にあるヘンニーおばあちゃまのお宅。オランダ刺繍の教室をされていたこともあるコージーでほっこりする空間です。
来春で80歳とは思えないとてもチャーミングな魅力あふれるヘンニーさん。お話が最終的にいつも恋バナになるという、身も心も若々しいおばあちゃまです。だから話が面白い。
ヘンニーさんの口癖は "I want to die romantically!"(わたしはロマンティックに死にたいの!)
素敵だと思いませんか?名言です。
ヨーロッパの女性は、年齢に関係なく一生女性として生きていらっしゃる方が多い。最近、海外でIKIGAIという言葉をよく耳にします。日本人が長寿なのは生き甲斐を持って生きているから、と世界が注目している訳なのですが、ロマンティックに生きるのもIKIGAIの一つかなと思います。
現在の家に住み始めたのは18年前。フラット(日本でいうマンション)の1階に、愛猫のリーフィちゃんと一緒に暮らしていらっしゃいます。引っ越しのきっかけは、ご主人(2番目の)が亡くなり、思い出が沢山詰まっている大きな一軒家はあまりに寂し過ぎるから、というのですからその理由からしてロマンティックです。
家のお気に入りを尋ねたところ
「フラットの1階だからお庭もあるし、運河沿いで景色もいい。何より大き過ぎないことが気に入っているの。部屋も窓も、たくさんあり過ぎるとお掃除が大変でしょ?ここはアムステルダムにバス一本で行けるし、スーパーも薬局も花屋も近いから便利なの」
と、近くに花屋があることを挙げるのは、さすがお花大好き国民オランダ人。ライフステージに応じて住まいをダウンサイジングすることも時には必要です。
好きなものを集めていたらヘンニーミニミュージアムになったとおっしゃるご自宅は、一見雑然とモノが置かれているようでいて統一感があり、ノスタルジックな雰囲気漂う素敵な空間です。最後の私のお城ともおっしゃっていました。
ディスプレイされたモノは、どれをとっても様々なドラマがありました。孫から貰ったソファ、亡き夫が旅先で買ったパイプ、日本人の〇〇ちゃんが作ってくれた折り鶴、嫁入り道具の刺繍セット、など次々に思い出を語ってくださいます。その表情がなんとも幸せそう。
この日、日本のお菓子ヨックモックを手土産にお持ちしました。東京の景勝地が描かれた限定缶です。日本のクッキー大好き、とっても素敵な缶ね!と喜ばれてホッとしました。ヘンニーさんは可愛い缶を集めるのが大好きなのです。ヘンニーミニミュージアムにヨックモック缶も所蔵してもらえたら幸いです。
決して高価なものでなくともキュンとするもの、好きなものに囲まれることは、日々の幸せに繋がります。幸福度はこんな些細なことでも上がるのです。
リーフィが家族に加わったのは意外に最近のこと。レンブラント広場に捨てられていた野良猫でした。もうすぐ80歳にもなるのに猫を飼うなんて!と家族から反対されました。それでも保護猫を扱う施設から引き取ったのです。
リーフィは栄養失調が原因で発育が悪く、推定13歳なのに子猫のようでした。今では暖かいラグの上でゴロゴロのんびり暮らしています。リーフィが来てからヘンニーさん自身も益々ハッピーになったそうです。お互いを必要とし合う存在は、幸せと長生きの秘訣なのかもしれません。IKIGAI、やはり重要かも?
温かみに溢れ、ラブリーな小物にロマンティックなお人柄が表れた素敵なお宅でした。様々な人生経験を経て作り上げられたインテリアは、歴史と深みがあります。なのに、どこか少女みたいな可憐さが。可愛いおばあちゃまってどこの国でも最強じゃないですか??
自分好みのスタイルをしっかり持ち、そこに身を置くことは何より幸せでしょう。住空間の影響を舐めてはいけません。好きなものは好き!だからそこにいたら幸せ。何事も案外答えはシンプルです。
後日談ですが、お孫さんから貰ったというグレーのソファ。実はちょっとモダンでわたしのスタイルじゃないの…と取材時に葛藤?を話していらっしゃいましたが、やはり変えたそうです。(笑) さすが!家族の反対を押し切ってリーフィを迎え、益々幸せをゲットしたおばあちゃまだけありますね。わたし達も、もっと幸せに貪欲にいきたいものです。
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