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高石陽子さん
これまでインテリアデザイナーとしてモデルルームや新築住宅、マンションリフォームなどのインテリアデザインに携わる。
さらに現在は個人邸の整理収納計画から音や香り、食器の選定なども含む店舗デザイン、セミナー講師など幅広い分野で活躍。インテリアの基礎を教えるインテリアサロンCASAも主宰。オランダ在住。
Yoko Takaishi Design 代表
インテリアデザイナー
/整理収納アドバイザー
/The Interior Design School Diploma
取得 /BIID 英国インテリアデザイン協会 正会員
前回に引き続き、アニタさんのお宅訪問【後編】では、ライフスタイルやアートについて伺います。
高石:素晴らしいセンスですが、いつからアートにご興味を持たれたのですか。
アニタさん(以下・アニタ):かなり若い頃から絵を描くことが好きでした。大学1年生の時、初めてアートを自分で買いました。その頃はもちろんお金がなく、夏のホリデーもどこにも行かないで節約して貯めて貯めて。
その時購入したのがこの馬のブロンズ像です。アート好きは両親の影響もあると思います。小さい頃からよく美術館に連れて行ってもらい、たくさんいいものを見て自分のテイストを作り上げていったと思います。
高石:アートはどちらで購入されることが多いでしょうか。
アニタ:PAN (http://www.pan.nl 11/18〜25)と言う有名なアートフェアがRAIのコンベンションセンターで開催されるのでそこで探します。絵は自分の感情が揺り動かされるものを選びます。有名なアーティストだからとか、価値があるとか、雑誌に出たとか、そんなことは重要ではありません。自分のインスピレーションです。
高石:季節によってインテリアは変えますか?
アニタ:大きな絵は簡単に変えられないですが、小さい絵はたまに変えます。小さい二つの絵は最近購入しましたが、それ以外は全て前の家から持ってきたものです。
高石:アンティーク家具も素敵ですね。
アニタ:アンティーク家具は夫の祖父からの受け継いだものが多いです。こちらは、ハーレムのフランス・ハルス美術館に長らく貸し出していたのですが、家を建てたのを機に返還してもらいました。
高石:インテリア小物はどちらで購入されますか。
アニタ:アーティストから直接購入したり、オークションで手に入れることもあります。カーペットオークションというものもあります。ペルシャ絨毯には珍しい、水色、グリーン、ホワイトと軽い色合いが気に入って、窓の外の草原と繋がって一体化しているような草花模様を選びました。チェストはオークションハウスのクリスティーズで手に入れました。
高石:家具類でお好きなブランドは決まっていますか?
アニタ:イタリアンデザインが好きで、家具、洋服、車…イタリアのデザインはどれも好きです。でも、この椅子はドイツブランドですし、こちらはマジストレッティ、あちらはイームズ。自分が好きであればどのブランド、デザイナーというのは決めていないです。
高石:よくお友達は来られますか?
アニタ:たくさん来ます。夫は料理が大好きで、デルフトにいた学生時代にクッキンググループを立ち上げたくらい。彼はガスで料理するのが好きで、キッチン設備はオーブンを含めガスです。我が家で外から供給するエネルギーは唯一ガスだけです。
高石:キッチンが1階にあるのもご主人のアイディアですか?
アニタ:夏はテラスで食事することも多いので外にアクセスしやすい1階にしました。
高石:それで一階にキッチンが必要なのですね。地下はどうなっていますか?
アニタ:かなり大きなワインセラーがあります。夫はワイン好きで、900本くらい常備されています。
高石:ワインセラーは設計当初から計画に入っていたのですか。
アニタ:最初はもっと大きなセラーが設計されましたが、個人邸の許容範囲を超えてしまい市役所の許可が下りず、計画よりもずいぶん小さいセラーになってしまいました。
高石:生活感がなくスッキリしていますが収納は?
アニタ:スッキリしているのは取材の今日だけよ。クリーニングレディースがホリデーでいないから、私が掃除したのでちょっと乱れているかも(笑)。収納は庭にある元馬小屋が物置になっていて自転車などはそこに置いています。離れもお見せしますか?
高石:オランダは収納が充実しているので皆さんスッキリしていますね。ぜひ拝見したいです。
高石:最後に、アニタさんにとって「我が家」とは?
アニタ:安全な場所です。信頼できて居心地がよく、平和を感じる場所。自分でコントロールできる唯一の環境ですよね。家が安全であることの重要性は、地震がある日本も似ていると思います。私は家に入った瞬間ホッとします。家だけでなくインテリアデコレーションも同じ。高い安い、大きい小さいに関係なく、健やかで安心できることが大切だと思います。
高石:その通りですね。このウェブマガジンは「世界に一つだけの自分の家づくり」を応援するということがテーマなのですが、アニタさんの考え方は日本のWeb読者も共感するのではないかと思います。本日はとても貴重なお話をありがとうございました。
−−−インタビューを終えて−−−
夢のようなお宅ですが、実はアニタさんの考え方は日本の住宅でも応用できると思います。安全性、環境への配慮は基本的なことですし、アートを選ぶ審美眼は一朝一夕に培われるものではなく、そういうことを意識して暮らす大切さは日本も同じです。
ただ、大学時代に本物のアートを自分で購入されたのはさすが。オランダは大学の学費も自分で支払う人が多く、そこは日本と違いかなり自立しています。溢れる情報に惑わされず、自分の感性に確かな自信が持てるのも、幼少期からの環境や教育の賜物。それは子どもを育てる大人たちの使命だと感じました。素敵な家には必ず素敵なアートがありますね。まさに、No art No interiorです。
さて、次回はオランダの可愛いおばあちゃま宅へ訪問予定です。お楽しみに。
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