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No.12 ヨーロッパで暮らしながら旅をして
No.12 ヨーロッパで暮らしながら旅をして

 

高石陽子さん

これまでインテリアデザイナーとしてモデルルームや新築住宅、マンションリフォームなどのインテリアデザインに携わる。

さらに現在は個人邸の整理収納計画から音や香り、食器の選定なども含む店舗デザイン、セミナー講師など幅広い分野で活躍。インテリアの基礎を教えるインテリアサロンCASAも主宰。オランダ在住。

Yoko Takaishi Design 代表
インテリアデザイナー /整理収納アドバイザー /The Interior Design School Diploma 取得 /BIID 英国インテリアデザイン協会 正会員

https://www.houzz.jp/pro/yoko-t326

ここが違うよ日本とオランダ・日常生活のまとめ

朝、散歩の途中でぽつりと水仙の黄色い蕾が咲き始めているのを発見。それはもう嬉しくてたまりませんでした。天気が悪く、鬱々とした冬はまさにモノクロームの世界。この天候にメンタルやられる寸前の人も実は多いです。春よ、早く来てー。

連載12回の節目ということで、総括的に日本とは違うオランダ(欧州含む)の日常生活についてまとめました。 それぞれに良さがあり、どちらがいいということではありません。
更に主観も入りますので、えっ?それ違うでしょ…と思われる方もいるかもしれません。あくまで気付いたこと。ただ、そこから何かを考えるきっかけになればいいと思うのです。

オランダの街の成熟度をみるポイント

この20年、国内外様々な都市に住んできましたが、街の成熟度を推し量るポイントがあります。それは、その街に住むご年配の「人相」と「佇まい」。つまり素敵なご老人がいるかどうかです。これ、完全に私調べ。(笑) でも、住んでみると当たらずも遠からずと思います。

アムステルダムに来た当初、ここはいい街だと直感しました。なぜなら、ご年配に限らず老若男女問わず人相と笑顔がいい。「多分、この人は幸せなんだろうな〜」というオーラを纏っている人多し。なんなの、この余裕?!(もちろん、例外はありますよ)

オランダ人の余裕とは?

例えば、トラムに乗るとします。 誰もが運転手に笑顔で挨拶してから乗る、たまに運転手からウィンク返し、男性は女性に席を譲る、隣に座る見ず知らずの人同士がめちゃくちゃ仲良く喋ってる、そこに一人でも外国人が混じるとオランダ語から英語にすっと切り替えて話す。

このように、何気ない暮らしの中に必ず笑顔と思いやりが溢れているのです。つまり、全てにおいて「余裕」を感じます。

アムステルダムはゴミが少ない

オランダの【ミュージアム】アムステルダムはカードがあれば何度でも

ミュージアムカード(59.9ユーロ=約8200円)は購入した日から一年間、オランダ国内400のミュージアムが全て無料。お城や観光船も含まれる大変お得なカードです。

カードがあれば、隙間時間にサクッと鑑賞、混んできたらすぐ退散、トイレが見つからない時などいつでも気軽にミュージアムが利用できます。

デ・ハール城(ユトレヒト)ミュージアムカードで無料

アムステルダムの合理的なシステム

入館料をその都度支払うと、心理的にもう少しじっくり見ようと滞在時間が長くなりますよね。結果、混む。大混雑の中、「立ち止まらないでくださーい」と大声で叫ばれて鑑賞するのは非常に残念なものです。

一方、イギリスにおいては国営ミュージアムが全て無料。さすがです。ただし、ドネーション(寄付)の箱が必ず入口にあり、寄付しないで入館するのは何となく抵抗があるのと、無料だけに混んでいたり職員の待遇をめぐるストライキもよくあります。 ある程度お金を支払い、何度でも入れるシステムは非常に合理的だと思います。

アムステルダムの美術館の写真撮影OK

フラッシュ無しなら写真撮影OKというミュージアムがほとんど(NGはゴッホ美術館くらい)。ただし、あまりにカシャカシャ撮影すると振り向かれます。なぜなら、マナーモードにしても撮影時の音が消えないのは日本と韓国の携帯だけだから。

盗撮防止の為と聞きますが、おそらく世界の人たちはそれを知らないので「なんでマナーモードにしないんだよ!また日本人かよ。」という目で見てきますので要注意です。

オランダの画家と言えば、ゴッホ、フェルメール、レンブラント。アムステルダム国立美術館。ミュージアムカードでいつでもライブラリーが使える。マウリッツハイス美術館1マウリッツハイス美術館2

オランダの環境問題とクルマ

車の運転が好きで、近隣国にもたまに行くのですが、オランダは本体価格も税金もガソリンも高い。車を減らし、自転車を推奨する環境保護政策の一環とか。

電気自動車は優遇されていますが、ガソリン車とディーゼル車は2025年までに新たな販売を禁止する法案が提出されました。とにかく環境問題に対する意識が高く、車には厳しいです。

それほど甘くないオランダのデザートは美味しいものがたくさん!

ある日、ドイツの警察から手紙が。ドキドキしながらGoogle翻訳で確認したところ、「制限速度80kmの道を90kmで走りましたよね?10kmオーバーで罰金10ユーロ(約1370円)」10ユーロに拍子抜けしました。

オランダで全く同じ80km道を90km走行で違反したときは、罰金70ユーロ(約9600円)だったのでその差7倍!むしろ、自動車大国ドイツが甘過ぎるのか(笑)。ルクセンブルクでは、制限速度110kmの道を116kmで走って罰金49ユーロ(約6700円)でした。6kmですよ?割に合わない気がしませんか。

オランダでは日本で使わなかった○○が大活躍

実は、ヨーロッパは実生活に即した制限速度が設定されていて、少しでもオーバーしたら捕まると言われています。実際、オランダの友人は4kmで捕まりました。日本と比較にならない程スピードカメラも多く、当たり前ですが法定速度を守るのが一番。

対策として、クルーズコントロールを使用する人が多いそう。試したところ、違反もなくなりました。最初の一年は日本感覚で運転した結果、10km程度の違反レターを欧州各国からいただき高い勉強代となりました。今や、理解しがたい法定速度が設定され、たまに理不尽な取り締まりを受ける日本の道路より、ある意味わかりやすいと思っています。

オランダの田舎道をドライブオランダの交通違反切符

オランダの子育ては親も楽しむ

子育ては当然のように夫婦で分担します。 お父さんが赤ちゃんを抱っこしながら犬の散歩をしたり、自転車に子どもを乗せて走る姿は日常茶飯事。 「あのお父さん、平日なのに公園にいて無職かなぁ?」的な発想は全くもってないです。

ユニセフが公表した子どもの幸福度調査で世界のトップを獲得したオランダ。つまり、子どもが世界で一番幸せな国ということになります。
でも、それは親の幸せにも繋がると思うのです。 親って子どもが幸せなら大部分がOKだと思いませんか?むしろ、親が楽しく幸せだから子どもも幸せなのか。

オランダは子連れに優しい環境

公園にはたいていカフェがあり、一緒に遊ぶこともお茶をいただくこともできます。大きな庭付き、遊具付きレストランなど、お互い無理なく楽しめる環境も多い。冬の定番、スケート場は、もちろん一緒に滑って楽しむことも、リンク横のカフェバーでホットワインを飲みながら親同士楽しく談笑することも可能。

オランダのアイススケート場

子どもの待ち時間ですら、親自身も楽しもうとする意欲が半端ない。(笑) このスタンスがお互いストレスなく子育てをする余裕に繋がっていると思います。

オランダ国民全体で育てる

ある日、大泣きする赤ちゃんに困惑気味の中東系の若いお母さんがドラッグストアに入ってきました。 いわゆるギャン泣き。店内の人たちはほぼそちらを振り向きます。

でも、誰も嫌な顔をせず、「まあまあ!元気な女の子ねぇ」とむしろにっこり顔を見合わせて集まってきたのです。 国民全体で子育てに関わる、しかも国籍問わず誰に対しても優しさを持って。地味に感動しました。同じ状況で日本だったらどうだろう?と。あの若いお母さんは救われたと思います。

オランダ人の子育て

どうしてこんなに子どもに寛容なのでしょうか。それは、おそらくオランダ人は良い子(この場合、人に迷惑を掛けない物わかりのいい子)に育てるのではなく、その子の個性が十分発揮できる大人になることを目標にしてるから。なので、基本褒める。子どもを否定したり、ましてや人前で罵声を浴びせるような叱り方は見たことがないです。

その結果、オランダ人全体がとてもプラス思考な気がします。 一方で、仕事で何か困難なことがあり否定されると、メンタルが弱くてすぐに会社を休むという話も。オランダ人と仕事をするときは、ストレートに話はしても注意をするのが難しいと聞きます。

トンスープ

オランダの働き方

オランダの帰宅ラッシュは4時から始まります。そして6時には家族全員で食卓を囲む。仕事帰りにパブで一杯!ということもなく家に直行。夕方の高速道路は家路を急ぐ車で殺気立つので、どんだけ早く家に帰りたいんだ?と思います。

オランダは、OECD加盟国の中で年間の平均労働時間が最も短い国に選ばれました。 しかし、国民一人当たりのGDPは日本より上。非常に効率よく働いていることになります。

お金より大切なもの

給与交渉の際、日本は年俸が高い程いいと考えがちですが、オランダは年俸というより休みの交渉をする人が多いです。 「今は子どもが小さくて妻が大変だから、週4日勤務にして欲しい」など。

また、女性はフルタイム勤務で無理をするより、パートタイマーを選択する人が全体の3/4を占めているのも特徴。優秀な人材がパートタイマーということはよくあります。パートタイマーでも正社員というところが根本的に日本と大きく違います。

働き方の思い込み

何に価値を見出すかは人それぞれ違うもの。自分がベストと思う生き方、働き方をライフステージに応じて選択する。ワークシェアリングが浸透しているのは見習いたいところです。

毎日必ずオフィスに行かなくても家で仕事ができる日もあると思います。「今日は保護者会だから2時で帰る」など予定に合わせて臨機応変に働く時間を変えたっていいと思います。

そろそろ働き方の「思い込み」をなくす時期が来ているのかもしれません。あの4時に帰る人たちの生産性が上という衝撃の事実を、日本人として真に受け止めなければならないと思うのです。

オランダのデザイン事務所が並ぶシェアオフィス
オランダから

今回でちょうど1年。
オランダの暮らしや街の様子を中心に綴ってきましたが、これからは季節ごと、楽しいイベントに合わせて、不定期にお届けする予定です。 またどこかの違う国を旅するように暮らしているかもしれません。お楽しみに。

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2018年2月14日
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