高石陽子さん
これまでインテリアデザイナーとしてモデルルームや新築住宅、マンションリフォームなどのインテリアデザインに携わる。
さらに現在は個人邸の整理収納計画から音や香り、食器の選定なども含む店舗デザイン、セミナー講師など幅広い分野で活躍。インテリアの基礎を教えるインテリアサロンCASAも主宰。オランダ在住。
Yoko Takaishi Design 代表
インテリアデザイナー
/整理収納アドバイザー
/The Interior Design School Diploma
取得 /BIID 英国インテリアデザイン協会 正会員
12月に入りオランダでも雪が降り始めました。近隣国のドイツ、ベルギー、フランス、イギリスでも初雪が見られたようです。寒い割りにそれほど雪が降らないオランダの交通網は雪に弱くて困りますが、それでも真っ白に雪化粧された街並みは素敵だと思います。この冬、オランダの運河は果たして凍るでしょうか。
ある日、友人が大きな紙袋を抱えてやってきました。中にはチョコレートがぎっしり。シンタクラース祭で会社の同僚たちに配ると言います。また別の友人は、子どもが学校から帰る前にシンタクラースのプレゼントを買ってこなくちゃ!と忙しい様子。
シンタクラース??
聞いたことあるような、ないような。シンタクラース祭は、オランダやベルギーなどフランダース地方で毎年12月5日に聖ニコラスをお祝いする伝統行事です。今やオランダ中の子どもたちが待ち望む国民的一大イベントとなっていますが、歴史を遡ると14世紀頃から聖ニコラスの命日を祝う風習があったそうです。
毎年11月中旬の日曜日(今年は11月18日)、シンタクラースはオランダの港から蒸気船で上陸します。赤いマントと司祭帽を身に付けているのが特徴。そしてアメリゴという白馬に乗っています。トナカイではありません。ズワルトピートと呼ばれる大勢の従者と一緒にスペインから蒸気船でやってきます。
シンタクラースが上陸して白馬に乗ってパレードする様子はオランダとベルギーの国営テレビで中継されるという国を挙げての徹底ぶりです。 子どもたちは憧れのシンタクラースを一目見ようと、それぞれシンタクラースや従者ズワルトピートのコスプレをしたり、シンタクラースの歌を歌いながら熱烈な出迎えをします。
子どもたちだけでなく、市長やスペイン大使までシンタクラースをお迎えするのはさすが国民的行事です。
ジンジャークッキー(クラウドノーテン)を群衆にばらまくズワルトピート。シンタクラースの従者としてお供します。ピエロのような衣装を着てとても陽気で明るい性格は子どもたちに大人気です。 近年、従者のその黒い肌を持つ風貌から彼らは奴隷だったのでは?という人種差別問題として論争されることもしばしば。煙突から入ってきてススが顔について黒くなったという解釈で薄ーく黒メイクをすることもあります。
また、なぜか濃い紫など若干違う色にメイクすることもあるとか。しかし、子どもたちにとってススなのかどんな肌の色なのかは関係なく、伝統的にピートの風貌は黒いピートでしかない、という意見が大多数のようです。ひょうきんで明るいピートの周りにはいつも子どもたちがいっぱい。みんな大好きなズワルトピートです。
聖ニコラスの日の前夜、12月5日の晩がクライマックス。シンタクラースを信じるよい子は暖炉の側に靴を置きます。 靴の中に入れるものは人参や角砂糖、お水など。シンタクラースを乗せてやってくる白馬のアメリゴに休憩してもらうためのものです。
プレゼントはその人の欠点にちなんだプレゼントや詩を贈り、愛を持ってイジるのがお決まりです。詩を贈るなんて素敵ですが難しそうです。
シンタクラースは、ただプレゼントを配るだけの優しいおじいさんではありません。一年間良い子でいたらプレゼントがもらえますが、悪い子は従者ズワルトピートに麻袋に入れられスペインへ連れていかれます。その点が違いますが、かなりクリスマスに似ていますね。
それもそのはず。実はシンタクラースがサンタクロースの起源と言われています。聖ニコラスはオランダ語でシンタクラース。それがいつしかサンタクロースへと変化しました。17世紀、オランダ人がアメリカのニューアムステルダム(現ニューヨーク)を入植したときにシンタクラース祭を伝えたと言われています。
白馬はトナカイに代わり、靴が靴下になり、名前はシンタクラースからサンタクロースへと変化したのだから似ている訳です。独自の変化を遂げ、本家よりも世界的に有名になったサンタクロース。逆輸入的にオランダでも祝うようになりました。
つまり、オランダでは元のシンタクラース(12/5)とサンタクロース(12/24)の二回もクリスマスがあるのです。ただし、二回とも立派なプレゼントがもらえるということは少なく、サンタクロースの方は家族でゆっくり食事という趣きが強いようです。
シンタクラースがスペインに帰る12/6までは、クリスマスツリーのもみの木を買ってはいけないと昔は言われていたそうです。シンタさんとサンタさんが喧嘩するとか?元は聖ニコラスという同一人物なのですが(笑) 。
今では関係なくシンタクラース祭の前からもみの木が売られているのをよく見かけます。 同様に、クリスマスマーケットもシンタ祭まではひっそりと開いていますが、終わると華々しく賑やかになります。 クリスマスマーケットにもそれぞれ特徴がありますので、一つひとつまわってみるのも楽しそうですね。
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