高石陽子さん
これまでインテリアデザイナーとしてモデルルームや新築住宅、マンションリフォームなどのインテリアデザインに携わる。
さらに現在は個人邸の整理収納計画から音や香り、食器の選定なども含む店舗デザイン、セミナー講師など幅広い分野で活躍。インテリアの基礎を教えるインテリアサロンCASAも主宰。オランダ在住。
Yoko Takaishi Design 代表
インテリアデザイナー
/整理収納アドバイザー
/The Interior Design School Diploma
取得 /BIID 英国インテリアデザイン協会 正会員
https://www.houzz.jp/pro/yoko-t326
ヨーロッパを記録的な熱波が襲い、暑く寝苦しい日が続いていたのも束の間。夏至を過ぎると少しずつ確実に日が短くなっていきます。
今のうちに少しでもたくさん太陽の光を浴びて夏を満喫しようと、皆バカンスへ出かけ始める季節です。
オランダ人は花が大好きです。どのお宅にも大きな花瓶に溢れるほど花が飾ってあります。「パンを二つ買うお金があるのなら、パンを一つに花を買う」という言葉があるくらい花へ愛情を持っているのだそうです。
オープン・ガーデン・デイズ・アムステルダムは、毎年6月第3週末の3日間限定で開催されます。通常は一般公開していない30カ所のプライベートガーデンを見学できるイベントです。
アムステルダム旧市街地の運河沿いに立ち並ぶカナルハウスは17世紀頃に建てられた歴史的建築物が多く、正面からはただの古い建物に見えます。しかし、その建物の裏には住民だけのプライベートガーデンが隠れていて、まさに都会のオアシス的「秘密の花園」が広がっているというのです。
そんな空間が見られるまたとないチャンスに早速出かけてみました。
まずチケットを入手しにVan Loon Museumへ。 3日間有効のパス(小冊子)にはガーデンの場所が記載された地図や建物の説明が載っており、入場する度にサインをもらうというスタンプラリー形式です。
この日のアムステルダムはグリーンの小冊子を片手に歩く人たちで溢れていました。毎年楽しみしている人も多いイベントです。
オープン・ガーデンに参加している建物の入り口にはグリーンの看板があり、これを目指して歩きます。
玄関で最初に目に飛び込むのはウェルカム・フラワーとでも言いたくなるような美しいお花のアレンジメント。どのお宅にも飾ってありました。そして家族代々受け継がれてきたであろうアンティーク家具とともにフォーカルポイントとなります。人も家も第一印象は重要です。
カナルハウスは間口によって課税されるため、鰻の寝床のように細長い間取りとなっています。長い廊下を抜けると、なんということでしょう!
表からは想像もつかない大きなプライベートガーデンが広がっています。これは実際に行ってみないとわからない感動かもしれません。
なぜなら、ここはアムステルダムで最も賑わっている中心部。いつも世界各国からの観光客が溢れているような地域です。にもかかわらず、裏庭には緑のグラデーションと驚くほど静寂な空間が広がっているというこの贅沢さ。
外の喧騒とのギャップ萌えとでもいいますか、まるで別世界です。「秘密の花園」と言われる所以ここにあり。この空間を独り占めしている家主さんは幸せでしょう。
カナルハウスは古い建物なので当然水まわりなどの設備はよくありませんが、家賃は非常に高く、それにもかかわらず空き物件が出ないと言われる謎が解けました。ここは楽園でした。
次のガーデンまで地図を見ながら歩くのですが、アムステルダムの街歩きが同時にできるのも楽しみの一つ。ウィンドーショッピングでつい立ち止まります。30度超えの非常に暑い日でした。
30カ所のうち15カ所訪問したところで終了時間となりました。 とても印象深かったのは、どの家主さんも穏やかで幸せに満ちた笑顔だったこと。
仕事が終わるとすぐに帰宅して家族全員で夕食をとるのが当たり前のオランダですが、住まいがこれほど癒される空間なら家に飛んで帰りたくなるのも納得です。毎日家族全員で食卓を囲めば、団欒の時間もゆっくりとれるでしょう。
オランダには寒くて暗くて長い冬があります。花を飾ることは、そんな季節でも明るい気持ちを皆で分かち合おうとする長年の知恵かもしれません。
心地よく整えられた住まいや自然との触れ合いは、人を幸せにするチカラがあるのではないでしょうか。そんなことを思わずにはいられない美しい秘密の花園でした。
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