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ホームエクステリア・庭 第四回 石畳のある家 > こんな家に住みたい。第三回 「シンボルツリーのある」家 その三 8種類の樹木の紹介(後編)

こんな家に住みたい。
知れば、なるほど。オプションのある家
第三回 「シンボルツリーのある」家 その二 8種類の樹木の紹介(前編) 第七回 防音室のある家 第八回 無垢材のある家 第一回 屋上に庭のある家 第二回 火のある家 第三回 シンボルツリーのある家 その一 シンボルツリーとは その二 8種類の樹木のご紹介(前編) その三 8種類の樹木のご紹介(後編) 第四回 石畳のある家 第五回 ホームシアターのある家 第六回 太陽光発電のある家
第三回 「シンボルツリーのある」家
文・写真:株式会社リーフユニティ 植田 健史
奈良県でカフェと大きな園芸ショップを併設したエクステリア専門店を経営。
デザインとライフスタイルを重視したエクステリアの提案・設計・施工を行う。

その3 8種類の樹木の紹介(後編) 株式会社 京阪エンジニアリング

常緑樹2種:シマトネリコ/ソヨゴ
落葉樹6種:ハナミズキ/ヤマボウシ/エゴノキ/カツラ/モミジ/シャラ

この8種類を「洋風住宅に合う」「シンボルツリー」の候補としました。
今回は常緑樹の2種と落葉樹のカツラとモミジ、そして番外編をお届けします。


「カツラ」葉の形が魅力
シンボルツリー カツラ

カツラの魅力は「葉」。

ハートの形をしています…。
新緑の季節は黄緑色のみずみずしい色になるのが素晴らしいです。

新緑の美しさ、爽やかさで選ぶなら私はカツラがナンバーワンだと思います。
二番はモミジかな。シャラやエゴノキもいいですけど。

秋は黄葉、すなわち黄色に色づきます。黄葉はまずまず、ってとこですね。


花は生物学的にはありますが、無いものと考えてください。気付かないことのほうが多いかも。
庭木、特にシンボルツリーとしては株立ちがやはり良いですね。
カツラは大きくなりやすい樹なので、広いめのスペースに植えたいところです。場合によっては剪定で切り詰める必要も出てきます。

カツラは、以前はシンボルツリーで植えられることが少なかった樹です。
公園や街路樹に植えられることの多かった樹で、前述のように大きくなりやすいことが庭木に使いにくかったことも理由なのですが、近年は庭木としても人気が出てきました。

カツラをシンボルツリーに植えた例です。白い外観に映えるグリーンが魅力です。

カツラには、そう言った意味で希少価値があると思います。
定番ではなく他人と違ったシンボルツリーを探したい方におススメ。
カツラを植えると、新緑の季節に「この樹いいね〜。あんまり見ないけど、なんて樹?」
なんて聞かれることがあるんじゃないでしょうか。


「モミジ」様になる樹形、紅葉が美しい
シンボルツリー モミジ

モミジと言えば和風庭園のイメージかも知れません。
この連載は「洋風住宅」の「シンボルツリー」の選び方について書いています。

「え?」 「モミジだと和風じゃないの?」
と感じられる方もいらっしゃるでしょう。
そうなのです。モミジは洋風住宅のシンボルツリーにもピッタリ似合います。
特に最近は自然な樹形のモミジが出回っていて、ナチュラルな雰囲気が洋風住宅にマッチしてくれます。


モミジの魅力はもちろん紅葉。
候補の中で紅葉でモミジを上回るものはないと思います。鮮やかな赤色です。
紅葉部門ではモミジがぶっちぎりNo. 1。ハナミズキがNo. 2。その他は、かなり見劣りします。

また、モミジは新緑も素晴らしいです。爽やかな緑色です。株立ちのものは落葉後もサマになる樹形です。
ところで、モミジには代表的な種類が二つあります。すなわち、「イロハモミジ」と「ヤマモミジ」。一般的にヤマモミジの方が葉が大きいとされます。

シンボルツリー ヤマモミジ

しかし、この区別は正直言って非常につけにくいです。ちょっと乱暴な言い方をすれば、「どっちも一緒」くらいの感覚で良い範囲です。
シンボルツリーとしてはどちらでも問題ないと思います。

モミジの最大の注意点は「虫」です。
ご紹介している8種類の樹の中で、モミジは一番虫に好かれます。よほど美味しいんでしょうね。
イラガを筆頭に、いろんな毛虫が付きます。
エゴノキのところに書いたテッポウムシも入ります。

(絶対に虫が付くわけではないですけど)消毒の準備はしておいた方がいいかも知れません。

こう書くと気分が萎える方もいらっしゃるでしょうが
それでもぜひモミジを植えたい、という方は数多くいらっしゃいます。

それだけシンボルツリーとしての魅力がある樹です。


「シマトネリコ」ツヤのある葉がそよぐ癒し系
シンボルツリー シマトネリコ

常緑樹のシマトネリコはシンボルツリー候補の中でぶっちぎりの人気No.1です。

この記事で紹介しているのは「洋風住宅の」「シンボルツリー」候補なのですが、最初に紹介したように落葉樹6種類と常緑樹2種類に絞っています。

常緑樹のシンボルツリーは2種類しか候補にありません。シマトネリコとソヨゴだけ。ソヨゴと比較するとシマトネリコの方がより洋風の印象です。
光沢のあるサラサラした感じの葉が洋風の雰囲気に実にマッチします。


シマトネリコは枝が細くて軽いため、そよ風でも葉がそよそよと揺れる様子が素晴らしいです。
癒し度満点の樹です。

さらに! この木の良いところは…
枯れない!
水さえ切らさなければ滅多に枯れることがありませんし、自然樹形なので剪定の手間も大してかかりません。また、病害虫も非常に少ないです。

私がこう説明すると、多くの方がシマトネリコに傾かれます。
シンボルツリーとして一番人気になっているのは、やはりそれなりの理由があるのです。

玄関のアプローチ部分に、シマトネリコをシンボルツリーに植えた例です。

シマトネリコの注意点は、まず成長が非常に速いということ。数年で相当成長するとお考えください。
ですから、ある程度大きくなってもよい場所に植えてやるべきですね。
あと、強いて言えばあまりにも人気が集中しているため、ご近所みんながシマトネリコという場合があったりするかも知れません。

ちなみにシマトネリコは厳密には「半常緑樹」に分類されます。
寒い地域では葉を落としますが、日本で素っ裸になることは少ないので、常緑樹と言っています。

花は植物学的には咲きますが、付かないこともありますし地味な白い花なので期待するほどではありません。
要するに、「常緑の爽やかな葉」がシンボルツリーとしての最大の見どころです。
もう一つの常緑樹であるソヨゴと葉を見比べて考えてみてください。


「ソヨゴ」赤い実と成長スピードが人気
シンボルツリー ソヨゴ

もう一つの常緑樹のシンボルツリー候補がソヨゴです。
常緑樹のシンボルツリーは候補が二つしかない上に常緑樹を希望される方が多いため、ソヨゴはシマトネリコに次ぎ人気のある樹です。

この二種の決定的な違いは成長の速さにあります。ソヨゴは成長が遅いです。シマトネリコは非常に速いです。

ちなみに「大きくならない樹」という実に難解な注文をお聞きするときもあるんですけど、残念ながら大きくならない樹はありません。ただし成長のスピードには差がありますので、速いものと遅いものを比較して検討することになります。
ソヨゴは成長が遅いので、シンボルツリーとして安心して植えられる種類の一つとなります。

ソヨゴは和風でも使えますが、洋風としても問題なし。
株立ちの樹形が良いです。ソヨソヨと風にそよぐ所からソヨゴと名づけられたそうです。

ソヨゴには小さな白い花が咲きますが、あまり目立ちません。シンボルツリーとしての見どころは赤い「実」です。
これがけっこう趣があります。ただし、実は付くものと付かないものがあります。すなわち「雌」には実が付きますが、「雄」には実が付きません。

ですから、ご購入の際はどちらか確認する必要があります。ソヨゴを植える際は「実付き(雌木)」と「実無し(雄木)」を販売店に聞いてみましょう。ちなみに、実付きの方が若干値段が高いです。
それでも先に売れていきます。実付きでさらに形がいいのは真っ先に売れてしまいます。

ちなみにこの「雄」「雌」の区別ですが、実の季節の前に花で区別ができます。
「雄」の花はチラチラとたくさん付きます。
「雌」の花は一つ一つ付きます。文章ではわかりにくいですけどね。

手前がソヨゴで奥がモミジです。

ソヨゴの花が咲くのは6月ごろ。つぼみの段階で雄か雌かわかります。花自体は小指の先程の小さな花ですので、遠めでは見えないくらいのものです。

虫はあまり付きません。ただ、葉に黒い斑点が入ったりすることは時折あります。これは菌類の影響です。防除するとなると結構頻繁に殺菌消毒が必要なのですが、あまり神経質に気にしない方がいいと思います。

「常緑樹で大きくなりにくいシンボルツリー」というご要望をお聞きすればソヨゴをおススメします。


番外編 8種類以外に…
シンボルツリー オリーブ

これまでに紹介した8種類(シマトネリコ、ソヨゴ、ハナミズキ、ヤマボウシ、シャラ、モミジ、エゴノキ、カツラ)以外にも、洋風のシンボルツリー候補は存在します。

一つが「オリーブ」です。
数少ない常緑樹です。
こいつが何故8種類のシンボルツリー候補に入らなかったかというと…
「いいものが少ない」からです。シンボルツリー以外で小さなものを植えるならいいんです。そこそこの値段で手に入ります(割高ですが)。しかし、シンボルツリーにするなら最低でも2メートルは欲しいですよね。
しかも、幹周もそれなりにないと格好悪いです。それを満たすオリーブは高価です。

他のシンボルツリー候補の倍くらいのイメージでしょうか。ついでに言うと移植にあまり強くなく、私としても仕入れに躊躇する樹です。それでもぜひ、という方はシンボルツリー候補に挙げられます。

シンボルツリー ミモザアカシア

二つ目が「ミモザアカシア」。常緑樹です。
これは2月の末から3月ごろに花が咲くのですが、その様子が見事。黄色い花が樹いっぱいに咲きます。

これを8種類のシンボルツリー候補に入れなかった理由は…
「成長が速く、大きくなりすぎる」からです。

ヒョロヒョロと伸びていくんですが、非常に伸びるのが速いです。根がしっかり張っていないのに構わず伸びていきます(よって風にも弱い)。枝もグングン伸ばします。時折、思い切って剪定してやる必要があります。

ですから手間がかかりますし、広いスペースが必要になってきます。シンボルツリーのスペースを広く取れて剪定の手間(コスト)をかけられる場合は候補にあげることができます。

シンボルツリー アオダモ

もう一つ。「アオダモ」を付け加えておきます。
これは落葉樹です。バットの木、なんて言われます。野球のバットの材料に用いられたりします。

野性味のある樹形、小さな白い花、新緑の美しさ、そして強さ(枯れない)。派手さはありませんが、いろんな良さを兼ね備えた一種。

これを8種類のシンボルツリー候補の中に入れていないのは、今は樹形の良いものの流通が少ないからです。もう少し先になれば、どんどん広まっていく樹かも知れません。今後に期待したいですね。


←その二 8種類の樹木の紹介(前編)

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ページ公開日:2009年7月1日
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