この季節に花屋さんへ行くと、プリムラの名が付く花がいろいろ並んでいますが違いがわかりません。育て方や性質もそれぞれ違いますか？

早春に咲く花のひとつ、プリムラはラテン語で『第一の』を意味する『Primus』からその名がついたといわれ、まさしく春を告げる花と言っていいでしょう。

プリムラ属は５００種以上ある種類の多い属ですが、園芸店などで並ぶ人気種は、ジュリアン・ポリアンサ・マラコイデス・オブコニカの４種類が代表的なものです。

色とりどりの可愛い花を付けるプリムラですが、うまく育てられないという声も聞きます。今回は人気の４種の性質と栽培のポイントを種類ごとにお話ししたいと思います。

ポリアンサはヨーロッパ原産のプリムラの仲間が交雑されてできた、代表的なプリムラです。太い花茎が伸びてその先に花を咲かせるものと、花茎が伸びずに花を付けるタイプがあります。

花径は5〜6�pほどあり、カラフルな花色とボリューム感で華やかな印象です。室内で楽しむ場合は暖房で25℃以上にならない場所で、明るい日差しが届く窓辺などが最適でしょう。

温暖な地方では−3℃位までは耐えますので庭植えやベランダで育てることができます。

コーカサス地方原産のプリムラ・ジュリエとポリアンサを交配して、日本でつくられた園芸品種です。ポリアンサより花径が小さく2〜3�pと小型ですが、花色の豊富さや、耐寒性があることはポリアンサと同様です。

プリムローズと呼ばれる八重咲種(バラ咲きジュリアン)や花びらが星の形をした星咲きジュリアンなど可愛い品種が晩秋から開花株が出回るので、パンジーやビオラなどと寄せ植えに使えます。生育が旺盛なので一回り以上大きい鉢に植え替えましょう。

日本のサクラソウとよく似ていますが、サクラソウはマラコイデスとは別のプリムラです。株の中心から伸びた花茎に小型の花を段状に咲かせます。

花色は白とピンクが主ですが、最近は耐寒性の強いライムグリーンの品種や、セミダブルと呼ばれる半八重咲きが人気です。

15〜20℃が生育適温ですが、０℃位までは耐寒できます。 室内では20℃以上になる場所は避けたほうがいいでしょう。生育が旺盛なので早めに植え替えをします。

伸びた花茎の先に花が集まって咲く姿はマラコイデスと同じですが、一つの花径は３〜4�pありボリュームと華やかさは抜群です。

花色は白とピンク以外にもオレンジやパープル、その中間色や覆輪のものもあります。花や葉に触れるとかぶれることがあるので注意が必要です。『タッチミー』という、かぶれない品種もでています。

オブコニカはプリムラの中では比較的耐陰性に優れていて、日当たりの悪い室内でも花を咲かせ続けてくれます。暑さにも強い方ですが、25℃を超えると生育が悪くなるので暖房が効きすぎた部屋は避けましょう。

耐寒性のある品種を除いて、冬の間は室内の明るい場所に置きましょう。光が不十分だと花付きが悪くなります。

暖かい日の日中３時間ほど戸外で日光浴させるといいでしょう。最低気温が10℃を超えるようになったら、室内から戸外に出して育てるようにします。

土が乾いて葉に張りがなくなってきたらたっぷり水をやります。水やりで気を付けたいのは花や葉に水をかけないようにすることです。花や葉が集まっている中心部に水が溜まるとそこから腐ってきたり、カビが生えたりします。葉をすこし持ち上げるようにして、土にそっと水を与えましょう。

開花期が長いのでリン酸分の多い肥料を、液体肥料なら10日に一度、固形肥料なら月に一度くらいの割合で施しましょう。

花柄はこまめに取り除くと病気予防にもなりますし、良い花を次々に咲かせてくれます。

暖冬といわれる今年の冬ですが、お庭に出るのはやっぱり億劫になりますよね。 春が来るまでお部屋の中でほっこり、華やかなプリムラを楽しんでください。