フジの花が大好きで庭で育ててみたいのですが、それなりのスペースが無いと花を咲かせるのは難しいのでしょうか？

日本はフジの原産地で、古来から栽培もされてきました。日本各地にフジの名所があり、名木と呼ばれるような木が残されています。

淡い紫色のまさに《藤色》のたおやかに枝垂れるフジの花は、見る者すべての人を惹きつける魅力を持っています。「大好きなフジの花をお庭で観賞したいけれど、藤棚を作るスペースなんて無いしムリね…」と諦めていませんか？

フジは鉢植えでも、庭植え(立ち木仕立て)でも育てることができます。むしろ鉢植えの方が根の成長が制限されるので、花付きがよくなります。

フジはあらゆる花木のなかでも、何もしなくても花を咲かせる植物といわれるほど、本来非常に花を付けやすい植物です。それなのに、花が咲かないと言う声を意外によく聞きます。

そこで、今回は今年咲かなかった方も、今年購入して来年も咲かせたい方にも必見の【フジの花が咲かない原因と対策】のお話しをしたいと思います。

フジは日当たりの良い場所を好みます。庭植えにする場合はまわりの樹が繁って日陰をつくるような場所は避けましょう。鉢植えの場合も、ベランダのフェンスで日光が当たりにくい場所などは花芽が付きません。葉がある期間はできるだけ日光によく当ててください。

種から育てた場合や、挿し木で育てたものはある樹齢と大きさにならないと花は咲きません。花付きの苗木を購入した場合は花が咲く樹齢に達しているということです。

これが原因の場合は、鉢植えにするのが有効です。鉢植えでは本来の成長ができず、木は早く老化します。逆に花の咲いていた鉢植えを庭植えにすると、木が若返って花が咲かなくなることがあります。

花が咲かない原因の大半が、つるを剪定する時期の間違いによるものです。自然状態ではつるを切られることなく翌年の花芽分化が進みますが、スペースが限られていたり、人工的に美しい景観にするためには剪定を行います。

このタイミングが遅いと、翌年の花芽を切ってしまうことになり、花が咲かなくなります。花が咲き終わったら６月中に剪定するようにしましょう。木の内側まで陽が当たるように枝をすかすと、中の枝にも花芽が付くようになります。

フジの木は根を切られると非常に弱ります。数年間は花が咲かないこともあります。フジを庭植えにする場合はよく考えて場所を選び、できるだけ移植しないようにしましょう。また、鉢植えの場合も植え替える時に根を傷めないように気をつけて作業してください。

庭植えの場合は真夏の高温期によほど乾いていれば与えますが、根付いてからはとくに必要ありません。注意が必要なのは鉢植えの水やりです。表土が乾いたら鉢の中の土全体をしっかり湿らすようにたっぷり水やりをしましょう。

フジは多肥を好む植物です。花をたくさん咲かせる植物は特に肥料を必要とします。寒肥に有機の肥料を施し、花後は気温が高くなる季節ですから、緩効性の化成肥料をお礼肥として必ず施すようにしましょう。

６月以降もつるはどんどん伸びてきます。スペースが限られているなど、つるをあまり伸ばしたくない場合は鉢植えなら、腰水といって鉢ごとたらいなどに入れ、鉢の1/3程度が常に 水に浸かっておくようにします。

根を過湿にすることで樹勢を弱らせつるを伸ばさないようにするためです。６月上旬〜８月上旬までで、それ以降も続けると根腐れを起こし枯れることもあるので注意して下さい。

落葉後から３月までに冬剪定を行います。夏の間に伸びたつるを整理し、込み合っている枝を間引いて花が咲いた時にきれいな姿になるように剪定します。この頃には花芽と葉芽の見分けがつきやすくなってきます。残す枝は花芽を３〜4個残して剪定します。

夏以降に伸びたつるが邪魔で切ってしまいたいという場合は、９月のお彼岸以降であれば剪定しても良いでしょう。それ以前に切ると狂い咲きしてしまうことがあるので注意が必要 です。

盛りだくさんでしたが、これで間違いなく来年のお庭のフジの花は約束されました。

最も華やかな季節である５月は、公園や野山でもフジ(Wisteria)が香りの良い房状の花を咲かせて楽しませてくれます。間もなくGW。フジの花も見頃を迎えますね。フジの名所を訪ねてみてはいかがでしょう。