家事に育児に仕事に……毎日忙しいお母さんのホンネとは? 「お母さんのひとりごと」は、一般公募で選ばれたお母さんたちによるリレーエッセイです。
毎朝電車の中の1時間で、私は「ママ」から「会社員」に変わります。そしてまた、会社から保育園に向かう電車の中で「ママ」に戻ります。世にいう「ワーキングマザー」というやつです。
入社以来、仕事一筋で午前さまもなんのその! と取り組んできた仕事。マネージャーとなった矢先に妊娠が発覚。赤ちゃんができたという喜びと、「何でこんなときに」という戸惑いも。
出産し、約2年の休職期間を経て昨年の4月に復職。
休職中にたくさん作った「ママ友」の縁が切れないように、通勤電車の中でメール。専業ママたちは二人目ラッシュが続いているんだって。へ〜ぇ。
『予防接種忘れないでね』
あ! 有休の申請を忘れてたよ。
も〜、予防接種は平日にやらないでよ! あ〜あ、休職中はそういうことによく気が付くタイプだったのになぁ。
今の仕事は残業もなく、自分でスケジュールを立てて働くから何かあれば休むこともできて、周りの人間関係も良好。そういえば聞こえも良いけど、悪くいえば閑職……。今まで一緒に働いてきたメンバーが次々と出世しているのを横目で見たり。
「子供がいるから仕方ないですよね」としたり顔で言われると、「はぁそうですね」とヘラヘラ笑うしかないし。あ〜あ、バリバリ働きたいよ!
子供のことも、仕事も、みんな中途半端だよ……。おっと、お迎え行かなくちゃ! なんと会社から保育園までは電車で1時間半、そして保育園から家までは1時間。2時間半の小旅行。そういえば、旅行なんていつ行ったっけなぁ。
ノートパソコンの入った会社カバンを肩からかけて、オムツと着替えの詰まった登園リュックを背負って、大きくなった娘を片手で抱っこし、もう片方の手で傘をさして駅までの道を歩いていると、
「ママ、満足?」
と、娘に聞かれました。
きっと、まだ2歳になったばかりの娘は「満足」という言葉の正確な意味はまだ理解していないと思います。でも、
「ママ、満足?」
そう正面切って聞かれると……。
カバンは重いし、髪はぐちゃぐちゃだし、靴下まで濡れちゃってるし、抱っこしてる手はしびれてるし、仕事はまだ残っていたし、予防接種は忘れていたし、食事は手抜きだし……。
「うん、満足だよ」
誰が決めたわけでもなく、私が決めたこと。
幸い、夫は協力的だし、娘も保育園にとてもなじんでいる。ご飯だって手抜きでもちゃんと作ってるし、遅刻もしないし、家族はみんな健康。
私の母も、夫の母もワーキングマザーだった。
きっとこうやって、私たちを育ててくれたはず。すべて完璧とは行かなくたって、バランス良くはできている。
(ここはひとつ、予防接種は夫に頼むとしよう!)
こうやって娘を抱っこして歩くことは今しかできないことだし、仕事はこれからずっとやっていける。
出世街道外れた? それが何? ゆっくりでもいつか追いつくから待ってなさいって。いつかチャンスは来る。
家に着くと、
「ママ、よく頑張ったねぇ。えらいねぇ、さすがお姉ちゃん!」
娘は自分が言われて嬉しい言葉を次々に投げかけてくれる。
(お姉ちゃんじゃなくて、母だけどね)
よ〜し、ママ明日も頑張っちゃうからね。
「自分が『母親だなぁ』と感じるのはどんな時ですか?」
マヒママさん
30歳、会社員。東京都在住。夫(31歳)、娘(2歳1か月)の3人家族。趣味はドライブ、パン作り。ご飯党の娘はパンを食べてくれないのが悩み。