スウェーデンに住む私の夫のママは、小さな田舎町の住宅地で現在一人暮らしをしています。夫のパパは３年前に亡くなり、その後ママはこの家に引っ越しました。

それまで住んでいた家は、終の棲家のつもりで建てた夫婦二人の大きな平屋の新しい家でした。パパが亡くなったのはその家を建ててまだ５年目のこと。これから定年後の生活を楽しもうという矢先でした。

大きな悲しみを乗り越えたあと、しばらくしてママが考えついたのは、この平屋の家を売って、どこか別の場所へ引っ越すということでした。広すぎて落ち着かない、というのです。二人のための家に、彼女一人でこれから先も住み続けるには、結局やはり気持ちの面で耐え難かったのでしょう。

そして、ママの見つけたのが、こじんまりしたコーポラティブのタウンハウス。スウェーデンでは、このような平屋の続きの家というのをよく見かけます。

歳を重ねて心寂しくなっている彼女にとっては、お隣同士がくっついているこの構造は、かえって安心感を覚えることになり、購入の決め手になったようです。間取りは日本でいう3LDK。

このような物件はわりと安く購入できますが、さらに毎月、共益費を払います。建物の一部が共有であることから、外壁なども自由に変えることはできないなど、いくつかの制約もついていますが、予算の少ない新婚の夫婦や、一人暮らしの人には人気があります。

二人暮らしの大きな家を出るときに、たくさんの荷物を思い切りよく処分して、ママの新しい一人暮らしは、彼女の好きなものだけを招き入れたさっぱりと落ち着いた空間になりました。彼女の再出発が充実したものになるように、家族はそっと見守っています。