お父さんの気持ちを聞いてみたい! そんな好奇心から生まれた「お父さんのナイショ話」は、一般公募で選ばれたお父さんたちによる子育てリレーエッセイです。
最近、6歳の娘とのホットな話題は、携帯ゲーム機の人気ロールプレイングゲームの攻略法についてだ。
ひょんなことから、デパートのイベントに商品目当てで参加して、見事ゲーム機とソフトを手に入れた当時5歳の娘は、生まれて初めて、自分のゲーム機というものを持った。
単に憧れだけなら、すぐに飽きるだろう。
人に自慢したいだけならなおさらだ。
しかし、時間を見つけてはフタを開き、せっせと物語を進めていく。予想よりも意欲的な日々が続いた。
そうしてエンディングが流れたのは、3カ月後の最近のことだ。
その間、私も同じようにゲーム機を握り、ときには助け合い、要所要所ではヒントやアドバイスを出し合い、その結果に一喜一憂していた。その苦節3カ月は、ゲーム機をもらって飛び上がって喜んだ娘の気持ちを少しでも理解したかったからであるが、携帯ゲーム機にどんな問題が潜んでいるのかを知りたかったからということもある。
この行動には賛否両論があるとともに、保育園児に携帯ゲーム機を与えるなどということ自体が、そもそもの問題という意見も多いだろう。しかし、そういう諸々のことを抜きにして考えた結果、娘とのコミュニケーションは増え、単純に楽しめたのだ。さらに、自分でやらなければ決して見えなかった経験に基づく問題点が見えてきた。
「時と場所を選んでとりかからないと、そのダンジョン(迷宮)は長く、途中でセーブできなくなって電池が切れてしまうかもしれないから、外へは持っていかないほうがいいかも」とか、「フタを閉じておけば勝手に一時停止するから、呼ばれてすぐ動けないなんてことはない」などの、具体的な注意点を理解してもらいながら伝えることができるようになったのだ。
確かに、すべてを選んで与えなければいけないという親の責任を感じている方々から見れば少々型破りかもしれない。自分が厳選したより良い物だけを与えていきたいと感じているならなおさらだ。
しかし、その取捨選択は、自分の経験と情報に基づいてしか行えないことは、薄々ながらも気が付いているはずだ。情報を頼りに、経験に基づいて説明すれば、納得してもらえることを知っているからでもあり、新たな情報を必要とせず、簡単にできるからでもある。
しかしその情報と経験から一歩外れたとき、その与えるだけの親たちは路頭に迷うのではないだろうか。
そして、与えられてきただけの子供たちも。
自分で体験していないことは、否定する前に一度体験してみればいい。
誰かが作った情報を自分の情報にするために、実際に体験してみればいい。
この情報社会で、あふれる情報にフタをして子供を守るのではなく、自分の中で情報を取捨選択ができるよう、自分でそれを噛み砕いて説明できるよう、子供と一緒に日々努力をすることが大事なのではないかと、携帯ゲーム機を娘と一緒に真剣に見つめて思った。
でも、次は女の子用のリズムゲームか……。大丈夫かな?
◆前回の執筆者からの質問
「お子さんと一緒に楽しんでいることは何ですか?」への回答◆
特にこれというものはありませんが、日常を楽しんでいます。最近は長女(6)とは携帯ゲーム機のゲームを一緒になって楽しんでいます
それでも、ダメなものはダメ!っていうものってなんですか?
仙台市在住の31歳SE。妻(32)、娘(6)、娘(3)、娘(1)の5人の共同生活中。
28歳のとき、全額銀行さんから借りて建てた、小さなマイホームと小さな庭を住みかとしている。