お父さんのナイショ話〜ひそかな親ごころ〜

お父さんの気持ちを聞いてみたい! そんな好奇心から生まれた「お父さんのナイショ話」は、一般公募で選ばれたお父さんたちによる子育てリレーエッセイです。

Vol.3 わが家はモノクローム

わが家の子供は、高一、中二、小五の男の子三人。子供たちの成長に従い、家の中がどんどんモノクロの世界になってきている。
息子たちは黒か青か白の服しか着ないのだから仕方がないのだが、紅一点のニョーボは、まさか男の子に赤いフリルの服を着せるわけにもいかず、意地になって家中のタオルをピンク色にしたりしている。

ニョーボの悪あがきを冷ややかに見ている私だが、気になるのはコミュニケーションが格段に減ってきていることである。
家族全員で出かけるなんて年に何回あるか。
特に長男とはたまに二人きりになっても会話が続かない。好きな寿司でも食べに連れて行けば違うかと思い奮発しても、長男の口から出る言葉は「大トロ」「ウニ」……。そんな言葉はいらん!

実はわが家では、この日が来ることを見越して一応手を打ってきたつもりだった。
ニョーボは3年前に家を建てたときに、バスタブと便器はピンクを主張して譲らなかった。間取りも、子供が部屋にこもらないように子供部屋を思いっきり狭く(3人で計8.5畳)して、その分リビングを男の子三人がごろごろしていても邪魔にならないように広く(約24畳)した。
そして「男の子が中学生、高校生になっても親について来るから」とニョーボが先輩お母さんたちから聞いてきて、夏のキャンプと冬のスキーも始めた。

しかしその努力もむなしく、タオルはすぐに泥まみれ、キャンプに行っても長男はずっと読書で、スキーは日中別行動(子供たちの方が上手くなったから滑るゲレンデが違う!)。
まあ、みんないつもリビングにいるから、間取りだけは成功か。

でもこのコミュニケーション不足も、気にはなるけど仕方がないかなとも思う。
思春期の男の子がいつも親とニコニコ話をしているのもそれはそれで気持ちが悪いし、ピンクのスカートを履かれた日にはもっと困る。
そういえば自分も高校生の頃には親と話なんかしなかったし。

ただ、会話はなくても、一緒に出かけなくても、子供の様子だけはいつもよく見ていてやりたいと思っている。うれしいこと、悲しいこと、つらいこと、何かあった時のサインだけは見逃さないようにしたい。

子供たちにかかわる悲しむべき事件が、連日マスコミを賑わせている。とりわけ、いじめによる自殺には、同じ小中学生の子供を持つ親として胸が張り裂けそうになる。

学校の対応のまずさや教師の資質が問われているが、私は、子供を守り助けてやれるのは、学校でも社会でもなく、親しかいないと思っている。
そのために、たとえ表面的なコミュニケーションは少なくても、常に子供を見つめ、理解する努力だけは怠らないでいたいと思う。家中が黒一色になっても。


◆前回の執筆者からの質問
「子供が生まれてから初めて知ったことは?」への回答◆

自分が親バカだと知りました。それまでは先輩親バカの皆さんを冷ややかに眺め、自分はああはならないと思っていましたが、生まれた子どもを見た瞬間、この世にこんなかわいく利発そうな子はいないと思ってしまいました。

 

次回の執筆者への質問

「子供にどんな大人になって欲しいですか?」

プロフィール

kazuさん
47歳、団体職員。夫婦+男の子3人(高一、中二、小五)の5人家族。
趣味は漬物作り。

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ページ公開日:2007年12月14日
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