お父さんのナイショ話〜ひそかな親ごころ〜

お父さんの気持ちを聞いてみたい! そんな好奇心から生まれた「お父さんのナイショ話」は、一般公募で選ばれたお父さんたちによる子育てリレーエッセイです。

vol.4 子供との関わり〜硬軟どちらも大変

4月末のある日、朝8時ごろ、刑事がわが家にやってきた。
息子(長男)に逮捕状が出ているとのこと。息子は先日から帰宅していなかったため刑事はそのまま帰ったが、夕方私が息子を連れて警察署へ行き、その場で逮捕。
容疑は詐欺。少額ではあるが、会社のお金を詐取したということらしい。

長男が大学を卒業して3年、長女もあと1年で大学卒業。これからの生活設計を妻といろいろ話し合ってきたことが、ガラガラと目の前で崩れていくような……。
ともかく、示談交渉を進めながら毎日面会の留置場通いをしているうちに、だんだん気持ちも落ち着いてきて。
よく考えると、最近の息子の様子は以前と違っていた。逮捕されるまでの間、息子が誰にも相談できずに悩んでいたことを考えると、留置場にいる息子がかわいそうで涙が出てきてしょうがない。
なぜ、彼の変化に気づいてやれなかったのか。悔やんでも悔やみきれない。

2週間後、示談が成立し、出所。
帰宅した息子は泣き崩れ、怒ろうと思っていた妻ももう怒れなかった。「二度とこんなことをするんじゃない」と言って済む問題ではないのだし。

子供たちは、私が監督・コーチをしていたサッカーチームで二人とも小学1年からサッカーをしていた。
私は家でも彼らにとって父親であると同時に監督であり、私も彼らに対し子供としてというより選手として話をすることが多かった。
大学入学のころからは、一人の大人として対するようにしてきたが、そのことが私たちに対して見栄を張るようになってしまった原因ではないかと思う。
子供として甘えられるところを、もう少し残しておくべきだったのか。

私は子供たちと一緒にいる時間も長かったし、話をすることも多かったので、彼らのことは十分理解していると思っていた。だが今回の一件で、思い違いをしていたと思い知らされた。
私には話さないようないろいろなことも、妻には話しているらしい。
妻から報告があるたびに子供たちと話し合うようにしているが、少し寂しいような気もする。

娘は、なんだかんだと私にまとわりついてきてよく話をよくするのだが、油断しているとその内容がすべて妻に報告され、後で妻から詰問されてしまう。
秘密にしていられないのではなく、最初からそのつもりらしいのだ。「ふーん、そうなんだー」と言われたら最後、必ず妻の知るところとなる。
しかし、娘に話しかけられるとついつい気を許して話してしまう。父親の悲しい性である。理屈抜きに、娘はかわいいのである。


◆前回の執筆者からの質問
「子供にどんな大人になってほしいですか?」への回答◆

常に平和を愛する人になってもらいたいというのが私の基本。
世の中がどういう風潮になっていたとしても、人間としてあらゆる戦争に反対してもらいたい。戦場で犠牲になる人たち(兵士も含めて)の家族、恋人の存在を忘れないこと、必ず弱い者が犠牲になることも。
それが日常の生き方にも影響すると思う。

 

次回の執筆者への質問

「子供が生まれて最初に考えたことは?」

プロフィール

ダロウェイの夫さん
49歳、住宅建設会社役員。夫婦+長男、長女、次男(猫)、次女(犬)の4人と2匹生活。趣味は読書。眠くなるまで読むというタイプ(早い話寝てしまう)。

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ページ公開日:2007年12月28日
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