お父さんの気持ちを聞いてみたい! そんな好奇心から生まれた「お父さんのナイショ話」は、一般公募で選ばれたお父さんたちによる子育てリレーエッセイです。
もうすぐ3歳になる娘から、「パパキライ!」と言われた。
3歳になるといろいろな言葉を覚えて使うようになるのは覚悟の上だが、さすがに私もこの言葉には動揺してしまった。数分後には、楽しく一緒に遊んだりして娘本人にとっては「言葉あそび」のひとつだったのかもしれないが、動揺した私は、「ねーねー、どうしてパパがキライなの?」とか「パパのどこがキライなの?」とかまったく大人げない質問を繰り返す。
まともに答えてくれるわけはないのだが、娘には嫌われたくないという世のお父さんならば、この気持ちを理解していただけると思っている。
ところで、娘を持つお父さんは「自分の娘は何歳くらいで父親を寄せ付けなくなるのか?」と考えたことがあるのだろうか?
中学生の娘を持つ友人に聞いた話だが、「先日、娘から半径5m以内に近付かないで! と言われた」と嘆いていた。
さすが中学生となると「強烈」である。いつまでも恋人同士のように……というのは奇跡に近いのかもしれないが、可能な限り娘とは仲良くしたいという気持ちは私も含め、多くのお父さんが思っていると思う。
しかし、現実は実に厳しいのである。
私の場合は、一緒にお風呂に入らなくなった日が「父離れの日」と今から定義しているが、冒頭の「パパキライ!」の娘からの一言で、この定義も崩壊しつつあるようだ。
娘との付き合い方は人それぞれであるが、私が思うに「お父さんもおしゃれに生きる」ことではないかと思っている。昔、「お父さん改造計画」なるTV番組があったが、あれを見ると妙に腹立たしくなった覚えがある。
しかし、あの番組で言いたかったことは、単なるファッションセンスの改造だけではなく、新しいものに興味を持ち、自分を磨こうとするお父さんは素敵なんだよ! ということではないかと思うのである。
「お父さんは普段仕事で忙しいから」と家でゴロゴロしているお父さんの言い訳は利かない時代なのだ。
とにかく、3歳になる娘から「パパキライ!」と言われただけでビクビクすることではないが、なんとなく「自分の生き方」を評価されはじめた感じがして、怖いような嬉しいような複雑な気分である。
おそらく、自分の娘は私と「適当な距離」をおいて今後も歩いていくのだと思うが、どうあれ私は父親としていつでも自信を持って娘の前を歩きたいとそう思うのである。
「子どもから教えられたことは?」
ベアーズさん
45歳、会社員。夫婦+子供2人の4人家族。
趣味はおやじバンド。