お月見特集「お月見カクテルを手に、静かに眺める中秋の名月」

いつの時代も月は暮らしと共にある

ふと見上げた空にぽっかり浮かぶ月、心が洗われ清らかな気持ちになったことはありませんか。昇り始めの月の大きさに心を揺さぶられる、そんな体験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。どんなに文明が進んでも、月は人を引き付ける見えない力を宿しているように思えてなりません。
その昔、人々の暮らしは月と共にありました。闇夜を明るく照らす月は、漆黒の恐怖を和らげてくれる存在でした。現在私たちが使っているカレンダーは太陽暦(西暦)ですが、昭和の初めごろまで日本人の暮らしは、旧暦にのっとったものでした。月の満ち欠けをもとにした旧暦は、季節のリズムに沿ったナチュラルな暦だったのです。中秋の名月を愛でる行事も、旧暦に基づいています。

中秋の名月とは

ところで、中秋の名月とはいつのことでしょう。中秋とは秋のちょうど真ん中という意味で、旧暦の8月15日のことです。この日の月が中秋の名月で、いわゆる十五夜です。今年は9月25日が中秋の名月にあたります。
意外と知られていないのが、中秋の名月=満月ではないこと。月の満ち欠けを基準にした旧暦に対して太陽の動きをもとにした太陽暦との間にはズレがあります。そのため中秋の名月と満月との間には、通常、数日の開きがあるのです。今年の満月の日は、十五夜から2日後の9月27日です。

お月見しよう

お月見の行事は、古く平安時代に中国から伝わります。貴族たちは、月を観ながら杯を傾け和歌を詠む風流を楽しみました。すすきの穂や月見団子をお供えして名月を愛でる習わしが、各地に残っています。
なじみの薄い世代には、自分流で楽しむお月見もよいと思います。月を観ながら季節の移ろいを感じ、地球や自然に感謝の心を捧げる、お月見の意味するところさえ押さえておけば、形式にこだわりすぎなくてもよいのでは。
今月はおうちでできるお月見スタイルをご紹介しましょう。




 

甘くないカクテルは、おつまみとの相性良し。一味違う抹茶カクテルは、辛党にもお薦めです。

■お月見カクテル
抹茶を使った和テイストのカクテル。苦味のなかにほのかな甘みも感じられるさわやかな味わい。ぜひおためしください。
1.ティースプーンに半分の抹茶をグラスに入れ、少量のお湯でダマにならないように溶きます。あれば茶せんを用いて、空気を含ませる要領で溶くとよいでしょう。
2.焼酎を適量注いで、炭酸水で割ります。
3.氷を浮かべて出来上がり。

※ビタミンが豊富な抹茶は、お薄の他にも工夫次第でさまざまに使えます。お茶専門店やスーパーで、800円くらいから手に入ります。

こんがりとした焼き色がつくまでフライパンで焼きます。■おいもの明太子包み
ピリッとした明太子をこっくりとしたじゃがいもが受け止めて、少量でもボリュームのあるおつまみ。
1.じゃがいもは、ゆでるか電子レンジで加熱してつぶします。
2.1をマヨネーズ適宜と塩コショウで味つけします。
3.シュウマイの皮に2と明太子をのせて包みます。
4.サラダ油を多めにひいたフライパンで、パリッとするまで焼きます。

 

満月はいつの世も人の心を癒します

月は、地球とほぼ同時期の45億年前に誕生しました。悠久の太古から今日まで、ずっと宇宙に存在してきたのです。
私たちは大きな時間の流れの中で生きているわけですが、人工物に囲まれた環境に身を置いていると、人間も自然の一部であることを忘れてしまいます。お月見は四季の恵みに感謝し、生物本来のリズムを取り戻す時間なのかもしれません。

(料理の写真と文=越田律子)

※この特集はイエマガ編集部が独自に企画したものです。

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ページ公開日:2007年9月6日


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