サポーターズボイス 家にまつわるエッセイ集

サポーターのみなさんに家づくりに関するエッセイを書いていただきました。
全国に広がるサポーターさんからはさまざまなご意見が集まります。家づくりで煮詰まったら、ここで日々の暮らしと家についての話を読んで「ほっと一息」…はいかがですか。
第1回 家を「買う」ということ
    12月3日
    借り続けることの難しさ ミニトマトさん
    「永住」という重い十字架 さかさかさん
    「早い時期の決断 どんどんさん
    「家」に手が掛かる喜び ハルハルさん
    11月12日
    自分たちだけの家 ゆうれいままさん
    土地がわが家の資産になる アン友さん
    安心できる選択 saiさん
    生活音を気にするよりも おかぴさん

 

自分たちだけの家
大阪府・ ゆうれいままさん・女性(37歳)
家族…夫(41歳)、長男(小3)、長女(年長)

私はこれまであまり持ち家に興味がなく、結婚してから10年ずっと賃貸マンションに住んでいます。賃貸だと住まいが傷んだり、なにかトラブルがあったら別の新しいところに引越しすればいいし、近所づきあいもわずらわしくないし、というのが理由でした。
ところが子供たちが大きくなってきて賃貸マンションでは手狭になってきました。賃貸マンションではあまり専有面積が大きな物件はなく、また、夫や自分に何かあったときに子供たちに残せるものがあるほうがいいということと、わずらわしいと思っていた近所づきあいも、子供を通じてご近所さんに知り合いが増えていき、それにつれて楽しいことも多くなるという面もあること……など、いろいろななことを考えた結果、突然家を購入することになりました。

いざ家を建てることになると、想像以上にその作業が楽しかったです。もちろん何から何まで初めてで、大変ではあったのですが、自分たちはどういうふうに生活したいか、将来どんな家族になりたいか、家族みんなで一生懸命考えました。
子供たちも子供なりに一生懸命参加してくれました。夫とも、こんなに色々意見や夢を言い合ったりしたのは結婚後初めてだったかもしれません。今はまだ建設中の我が家ですが、とうとう今月末には完成する予定です。いろいろ決めていく作業は本当に大変でしたが、オンリーワンな家になるんじゃないかと今からワクワクしています。
それに当初予想していた以上に子供たちが「自分たちだけの家」を楽しみにしているということも、親としては嬉しい限りです。

これまでは住むところってただの入れ物だと思っていましたが、自分たちのシンボルになるものなのかなと今は思っています。実は私自身は転勤族の娘で、何度か転校を経験しました。家に対する愛着や思い入れがないのはそのためだと思います。なので、自分の子供たちには、大人になったときに戻ってくるだけで子供のころを思い出せるような「実家」を作ってやれることがとても嬉しいです。

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土地がわが家の資産になる
愛知県・アン友さん・男性(37歳)
家族…妻(31歳)

今年の8月に新築一戸建てを購入しました。
購入を決断した理由は大きく分けて3つあります。
まず第1の理由は収入の範囲内で一戸建ての建築が可能であったことが挙げられます。地域柄、土地の価格もさほど高い地域ではないためサラリーマンの収入でも何とか手に入ります。逆に賃貸の家賃がさほど安くはないため割高に感じたことと、資産として残せないことも大きな理由でした。
第2の理由は地域柄、自動車がないと生活が不便であるため家族分の駐車場+将来の子供のための駐車場を確保したいと考えました。賃貸だと良くて敷地内に2台分しか駐車場が確保できず、更に家賃と同様、ずっと賃料が発生し、屋根付き駐車場も望めないことからも我々にとって一戸建ての方が都合が良いと判断しました。
そして第3の理由は、やはり一戸建てに対しての思い入れや夢があったためです。子供の頃から一戸建てで育ったこともあると思いますが、庭で家庭菜園をやってみたいとか、季節の良い時は外でバーベキューをしてみたい等、家に求めることが賃貸では実現できそうになかったためです。
他にも友人を家に呼んでみんなで宴会をするために20畳以上の広いリビングが欲しかったり、駐車スペースがたくさん欲しかったり、私の喉が弱いため冬場の暖房を床暖房にしたいとか、光熱費を抑えて快適に暮らしたいため断熱材にセルロースファイバーを使いたい等、とても全てを賃貸物件に求めることには無理がありました。

確かに賃貸物件であれば住宅購入よりは生活にお金がかからないかもしれませんので生活にかけられるお金は増やせると思いますが、逆に何かあった時には何も残りません。
もちろん一戸建て購入は多額のローンを抱えることにはなりますが、それさえも万が一の場合は保険で保障されます。地震で建物が住めない状態になっても、土地は残ります。建物は何十年も経てばリフォームや建替えが必要になりますが少なくとも土地は残ります。もちろん全ての人に言えるとは思ってませんが、やはり資産として残るか否かはサラリーマンにとって大きな違いと思います。

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安心できる選択 宮城県・saiさん・女性

田舎なのでもともとアパート等がなく(今でもマンションはないです)、一軒家に住んでいたので、自然とそのまま一戸建てを建てました。今は庭で家庭菜園等ができ、満足しています。結婚してすぐは、主人の仕事の都合で違う県で暮らしていたので初めてアパート暮らしを経験しました。住人は同じ世代の夫婦がほとんどで子供も同じぐらいだったので、よく駐車場に集まって子供を遊ばせたりおしゃべりをしていたので、こういうのも悪くないなぁとは思っていました。ただ地元に帰って来て、唯一ある5階建の町営住宅に住んでいる友人から生活音の問題と子供の問題が絡んで、上の階の家族と険悪になっているという話を聞き、それもまた起こり得ない話ではないなと思ったのも事実です。

我家には娘と息子がいますが、今お腹にいる子も男の子と分かりました。女の子と男の子のけんかでもかなり激しいのですが、更にもう一人男の子となると、どんな生活音がプラスになるのか想像もつきません。またこれから授乳等で夜中に何回も起きなければならないので、ひょっとしたら上の家族のささいな音にも必要以上にイライラしてしまうかもしれないと思います。一軒家だから全てが大丈夫という訳ではありませんが…。
今回の妊娠が地鎮祭の1週間後に判明したために、子供部屋が2つしかありません(笑)。それでも姉弟のどちらかとは同じ性別になるのだからとそのまま工事に入りました。変更するにはお金も時間も掛かりますからもう選択の余地はありませんでした。今では部屋を共有した方が兄弟愛が育まれるかも…と期待しています。

全て自分達が考えた通り、想像していた通りになった訳でなく、思わぬ出費がかさんだりしたこともありましたが、それでもせっかく手に入れたマイホーム。それは私たち夫婦だけではなく、子供たちにもしっかり自覚を持ってもらい、大事に大事に暮らして行きたいと思います。

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生活音を気にするよりも
神奈川県・ おかぴさん・男性(29歳)
家族…妻(29歳)、子ども(0歳)

去年、家を建てました。資金も少なく、かなり迷いましたがその決断をした理由はいくつかあります。
まず、第1にアパートに住んでいたが隣や下の住人に気を遣いながら住むことに気疲れしたということです。どれだけつくりがしっかりしているとはいえ、どうしても集合住宅です。夜のテレビの音量や洗濯機の音、掃除機のかけ方、諸々と周りの生活音が聞こえるだけに自分たちも常に気を遣いながら生活し続けました。
そして第2に、それだけ気を遣いながらも、他人に賃貸料を払い続けているということです。月々で考えれば、家のローンよりかなり生活も楽です。住宅手当も会社から出ます。しかし、一年間二年間と積もり積もっていく金額を予想すると、やはり、自分の資産になるための月々の支払いのほうが納得できるという思いがありました。賃貸住宅はどれだけ住み続けても、自分の資産にはなりません。家を出て行くときに、それまでの支払いがすべて貸主の懐に入っていたことに気付きます。私たち夫婦にはそれが納得できませんでした。(貸主が強欲でいろいろなことに手を焼いたことも、私たちのそういった気持を助長させました。)
第三に、経済の状況がありました。住宅ローン減税が終わること。そして、消費税増税が予想されたことなどが挙げられます。また、これ以上の金利の「下落」が見込めなかったことなどがあります。0.1パーセントでもローン支払い終了時の合計金額には差が出ます。何年間も金利を見てきて、これから金利が上がるなと判断しました。(もちろん、自分の判断であり、経済は思わぬ方向へ動くものを覚悟したうえでのことですが)さらにつけくわえると、原油高が続き、同じ値段で家を建てるにしても、中身の質は大きく異なってくるであろうことも予想できました。

結局、大手ハウスメーカーの家を建てたのですが、小さくてシンプルで質の高い家を望んだとおりのものを建ててもらったと思っています。毎月の支払は賃貸で暮らしていた時の2倍ですが、やはり自分の未来への投資と思えばなんてことありません。子育ても伸び伸びでき、子どもの泣き声に気兼ねすることもありません。まさにプライスレスです。

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借り続けることの難しさ
千葉県・ミニトマトさん・女性(37歳)
家族…夫(40歳)、小学生2人、年長児1人

昨年、家を建てました。結婚して10年目のことです。それまではずっと借家住まいでした。借家と言っても少し変わっていて、1階が大家さんが経営する会社の事務所で、我が家はその2〜3階を間借りする形でした。大家さんは非常に良い方で、会社の駐車場で行われるバーベキューに呼んでくださったり、庭で取れた果物を持ってきてくださいました。

でも、私たち夫婦は家を買うことを選択しました。一つには、財産になること。もう一つは、子どもの成長を考えてのことでした。借家はとても古い建物で冬寒く夏暑いため、子どもたちは霜焼けやアセモに悩まされました。また、住宅設備が壊れた時に自分の判断ですぐ修理できなかったことがあり、ストレスになりました。大家さんの好意で家賃は相場よりかなり安くしていただいてたので、修理代が大家さんから「折半で」と持ちかけられても強く出られず、結局折半にしたのですが内心は「大家負担のはずなのに」と納得できませんでした。それ以後、自分の家は自分の判断で維持したいと強く考えるようになりました。

さて、家は財産になると書きましたが、どんな家でも財産になるわけではありません。建物は時間が経てば価値がなくなるので、土地の条件には妥協しませんでした。不動産屋さんを周ったり自分の足でも探したりして粘ること8年目、理想の土地が見つかりました。運良く購入話はトントン拍子に進み、良い工務店さんと出会って住みやすい家を建てました。新しい家でも住宅設備の故障は何回か起きていますが、すぐ修理をお願いすることができて満足しています。

実は上棟式の直前に大家さんが病に倒れ、会社は廃業することになりました。私たちは上棟がすんでから大家さんに家を建てることを報告するつもりだったのですが、それも叶わず大家さんは1年後に亡くなられました。会社が廃業することが決まった時点で社員の方々が我が家に来られ、「この建物もいずれ競売にかけられます。まだしばらくは住めると思いますが、新しい家を探された方が良いと思います。社長も心配しています。」と言われました。我が家はたまたまタイミングが良かったのですが、突然家を探せと言われたら困っていただろうなと思いました。

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「永住」という重い十字架
群馬県・さかさかさん・女性(32歳)
家族…夫(31歳)、子ども(2歳)

家を買うこと=その土地に拠点を移し、永住するということ。
長男の嫁としていつかは夫の実家近くに戻らないといけないことはわかっていましたが、戻るまでは自分の希望する利便性のよい場所に住めたため、これといって「住む」ことに対し不満を抱いたことはありませんでした。
しかし、結婚して数年後に渋々引っ越し。子どもも生まれ家を建てることに。自由設計で自分たちの希望する間取りで建てましたが、自分が希望していない土地に住むことは、予想以上にストレスがたまります。今後引っ越しがないということで、他の土地に住める可能性も限りなくゼロに近いので、一時期はブルーになってしまいました。知人の話で、引っ越してきた奥様が、その土地に馴染めずノイローゼになったという話を聞き、自分もノイローゼになりそうだ、と思ったものです。
転勤などの予定もなく持ち家を処分することも生きている限りはないため、当然のように家を建てましたが、きっかけは子どもだと思います。子どものことを考えれば、今後引っ越しもせずに済みますから環境が変わることもないですし、マンションと違い家や庭を走り回っても第三者に迷惑をかけることがないので、家を建ててよかったとは思っています。
長期的な人生設計という意味では、持ち家があるということはいいことかな、と思いますが、環境の変化に応じた住処を見つけ、好きな土地に引っ越せる楽しみが減ったことを考えると、なんとなく人生がつまらなく思えるようになりました。家を持ったことである程度の「安定」「安心」などを手に入れたとは思いますが、自分の中にある色々な欲求を諦めたような気がします。

自分がもし将来に不安を抱く独身だったら、「確実に住み続けられる場所」ということで「持ち家」を欲しがっていたかもしれませんが……。
このまま住み続けていればいつかは「持ち家があってよかった」と思う日が来るかもしれませんが、現時点では賃貸暮らしだった頃のほうが何倍も楽しかったと思っています。
自分の経験を踏まえ、我が子(長男)が大きくなったら、地元にこだわらず自分(もしくは夫婦)の希望する土地に住み続けて欲しいと思っています。

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早い時期の決断
大阪府・どんどんさん・女性(39歳)
家族…夫(49歳)、子ども(11歳)

私にとって家は自分の安らぎの空間。自由なきままな暮らしを思いきってするために家を建てました。若いうちに購入しましたので、もう15年目です。そんなに大きな決断はなかったのですが、実家も一戸建ての持ち家でしたし、主人の実家も一戸建ての持ち家。お互いが育ってきた環境が家を買うのはあたり前という感じです。
いずれ購入するなら早いうちほしいなあと思っていました。まずは大きくはお金の問題。夫婦二人で働いて(お互い独身のときの預金も出して)ある程度貯金もたまってきた時思いきって購入しました。理想と現実の間で悩んだりしながら、妥協も覚え、でも自分たちの家。うれしかったなあ。これから年を重ねていくのと同じように歴史を作っていくく我が家を見ていきたいなあと思ったし、家を買うことは大きな買い物でしたが家賃を払っていくのはもったいないと思って、早いうちに決めました。
新しい家で楽しくうれしい新婚生活を過ごせたのもいい思い出。家のローンがあったので、ボーナスは手元に残らず寂しい思いをしましたが……慣れてしまえば平気になりました。友達で家を買った子はいなかったのでボーナスでバック買うんだ〜とか旅行に行くのよ〜なんて聞くとうらやましかったなあ。でも早く購入したおかげでもうすぐあと2年で家のローンが終わります。
最初は長いローンだな〜って思っていたけど繰上げ返済もしたおかげで思ったより早いかな?もうちょっとで家のローンが終わるなんて〜うれしい。。あともう少しと思えば貯金より励みになります。これから子供が大きくなって成長していき、家族で過ごしていく空間。やはり賃貸ではなかなか味わえないです。写真やビデオにもいつも家で写した写真を入れています。
旅行に行ったときと同じようにその時その時の我が家の姿を残しておきたいなあと思う。思いがけず役に立ったんじゃないかと思うことは、商売を始めたときお金を借りる際持ち家があると割りとすんなりローンが組めたように思います。自営業という不安定な職業にかわったのでここで持ち家は大きな力を発揮したように感じます。

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「家」に手が掛かる喜び
神奈川県・ ハルハルさん・男性(50歳)
父(80歳)、母(77歳)

私は若い頃、仕事の都合で頻繁に引越しを繰り返していました。20歳の頃から約20年間で都合7回、けっこう引越し貧乏の生活を送りました。そんな経験から、確かにアパートやマンション生活にももちろん良いところは多々あります。気楽ですし、煩わされることも少ない。でも私には、どうしても仮の宿という面がぬぐいきれませんでした。やはり狭くても庭があって、煩わしいながらもご近所との付き合いがって、初めて我が家といえるのではないでしょうか。

面倒だなと感じる面も数々ありますが、大地に足を踏ん張って立つ我が家であるからこそ、終の棲家といえるのだと思います。終の棲家とは、自分にとって一生を終えるべき場所のことではないのかなと思います。自分の頭の上や足の下に赤の他人が住んでいる、これは一生という観点ではちょっと不気味かもしれません。確かに、死んでしまえば所有物なんて何もなくなってしまいますが、生きている時にこそ、多少の贅沢を味わいたいという気持ちでしょうか。
アパートやマンションの寿命を心配するよりも、手を加え頭を使って自分の居場所を確保できる、それが一戸建ての持ち味かと思います。特に庭は、5年、10年と時間をかけて作り上げていく楽しみもありますし。多少の雨風による傷や汚れも、自分自身の経歴と一緒だと思っています。

やはり私は、我が家と呼べるものは一戸建てである、そう思います。そして借り物よりも自分のもの、だから家を買うべき決断をしました。我が家はまだ築1年、これからどのように雰囲気が変わってくるか楽しみにしています。身の回りの煩わしさをなるべく減らしたい方は確かに賃貸のほうが向いていると思います。そんな煩わしさが楽しめる方こそ、持ち家を持つべきでは。自己満足といわれようとも、自分が満足をしたいから。
ただ、長期で高いローンをしなければならない方は、ちょっと考えるべきでしょうね。どちらが得であったかは、きっと最後になってわかることかもしれません。

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ページ公開日:2008年12月10日
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